PCメーカー各社が「iPad」の成功に追随しようと全速力で走る一方、同じくらいすぐにネットブックについて語るのをやめたことは注目に値する。ネットブックを「ミニノートPC」と呼ぶ人もいるが、今では「スマートフォンよりは大きいがノートPCよりは小さく、タブレットデバイスの隣に置くと少なからず野暮ったく見えるもの」と呼ぶ人の方がずっと多くなった。
Gartnerによると、2009年10月から12月までのミニノートPC出荷台数は1050万台だったという。それが市場のピークだったのかもしれない。出荷台数は2010年第1四半期になると970万台となり、第2四半期には840万台となった。今後数カ月でさらに落ち込むとみられている。
何が起こったのだろうか。2009年に最も話題になった製品カテゴリであるネットブックが急激に失速したことを、iPadの隆盛と結び付けて考えても行き過ぎではないだろう。2010年1月にiPadが正式発表されるわずか数週間前の2010 International CESですでに、PC業界の話題の中心はタブレットだった。Hewlett-Packard(HP)、Dell、ARCHOSが披露したタッチスクリーンタブレットは、いくぶん試験的なものだった(詳細はほとんど明言されず、出荷日がはっきりしないものもあった)が、新しいモバイルデバイスを求めるコンシューマーをターゲットとしてネットブックを売り込むことがもはや注目の対象から外れていたことは明らかだ。
OracleのLarry Ellison氏がかつて述べたように、IT業界における流行の移り変わりはファッションの世界に非常によく似ている。スマートフォンより大きいフォームファクタで、全体としてフルサイズのノートPCよりも手ごろな価格で手に入るネットブックが、未来のモバイルコンピューティングの姿だとしてもてはやされたのはさほど遠い昔のことではない。ネットブックはノートPCを小さくしたもの(それだけにカフェや路上での作業には便利だ)で、5〜10インチのディスプレイを備え、「Windows XP」や「Windows 7」、Linuxが動作する。これにバッテリ持続時間が長くなる低電力プロセッサが搭載され、全体で300〜600ドルで手に入る。
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