IntelとAdvanced Micro Devices(AMD)の競争がまた始まろうとしている。今回はPCを高速化することだけでなく、多用途性を高めることも競い合っている。
両社はPCチップの分野で長らくライバル関係にあるが、ある一点に関して概ね意見が一致しているようだ。それは、CPUとGPUという2つの主要なPCチップを、1つのプロセッサに統合する必要があるということだ。しかし、両社はその目的を達成するために、それぞれ異なる部分に力を入れている。
なぜチップを統合するのか。簡単に言うと、1つのチップ上で電子を動かす方が、同じ電子を2つのチップ間で動かすよりも消費エネルギーが少なくて済むため、エネルギーの節約になり、ノートPCのバッテリ寿命が延びるからだ。これは、Insight 64の主席アナリストであるNathan Brookwood氏がAMD向けに書かれたホワイトペーパーの中で指摘した点だが、いくつかの基本的な点でIntelにも同様に当てはまる。
また、CPUとGPUが適しているコンピューティングの種類はそれぞれ異なる。CPUは幅広いタスクを処理することができる。一方、GPUはCPUよりも特化されているが、ある種の演算についてはCPUよりもはるかに高速である。将来のヘテロジニアスチップは、ユーザーのライブラリから特定の顔や場所が写っている写真、動画を見つけられるようになるかもしれない。あるいは、ログイン時にユーザーの顔を認識するようになるかもしれない。要するに、CPUとGPUの機能を1つのシリコンに搭載することによって、従来よりも頭脳と処理能力に優れたチップを作ることができる。
当然ながら、IntelとAMDのどちらが成果を上げて、2011年の最先端のPC(特にノートPC)設計を牽引するのかという話になる。AMDは自社製品の方が進歩的であると主張しており、その理由を、グラフィックスチップ部門ATIを通してGPUも供給し、Microsoftの「DirectX」やAppleの「OpenCL」のような主要マルチメディアテクノロジを活用するグラフィックスへの取り組みを強化しているためとしている。
AMDの「Fusion」担当マーケティングディレクターであるJohn Taylor氏は、「Intelは当然、もっとCPU中心である。それがIntelの考え方だ。AMDは(ATIを通して)グラフィックスチップスも提供している。現在、GPUに関する世界最高峰の知的財産を新しい種類の設計に組み込んでいるところだ。消費者向けノートPCのGPUは、非常に効率的なコンピューティングエンジンであり、2Dと3Dの素晴らしいグラフィックス機能をすべて備えたものだと考えている」と述べ、IntelはCPUに低レベルのグラフィックスを「振りかけている」だけだと付け加えた。
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