完璧な携帯電話など存在しないというのは真実かもしれない。しかし携帯電話業界は、Appleの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏の主張を喜んで受け入れようとはしていない。Jobs氏は、「iPhone 4」について広く報じられたアンテナと電波の問題はほかのスマートフォンにも同様にあると主張した。さらにAppleは、醜い泥仕合と化した広報合戦の中で、社内での電波テスト結果を発表することで反撃し、同社が競合製品の問題について火のないところに煙を立たせているのではないことを主張している。
HTCの最高財務責任者(CFO)であるHui-Meng Cheng氏は米国時間7月19日、The Wall Street Journalに対し、「電波受信の問題は決してスマートフォン全般のものではない」と述べ、サムスン関係者は、「当社の『Omnia 2』での受信感度の低下について顧客から大きな問題は報告されていない」と述べている。Omnia 2は、アンテナを手で直接覆うようにして握ると同様の受信感度の問題が生じるとしてAppleが名指しした端末の1つだ。
Jobs氏は、受信感度に問題があるという報告(この問題の報告は、Consumer Reportsが先週、iPhone 4の購入を推奨しないと宣言したことで最高潮に達した)に対処するための記者会見で、「どの携帯電話にも弱い部分がある」と述べた。同氏の発言に強く反論しているのは、アジアを本拠とする上述の2社だけではない。Jobs氏は同時に、問題を軽減するためのケース「バンパー」を9月30日までにiPhone 4を購入した人全員に無償で配布すると発表した。
フィンランドの携帯電話メーカーNokiaのプレスリリースには次のように記されている。「Nokiaは、膨大な数の時間と労力を注いで、人々が音声通話、音楽再生、ウェブ閲覧などをする時にどのように電話機を持つのかといったことまで、さまざまな人間の動作を研究した。人と人を繋ぐことに注力する企業としてユーザーの期待に応えるべく、当社では仮にアンテナの性能と物理的なデザインが両立しえない場合にはアンテナの性能を優先する」
最も強硬な発言は、「BlackBerry」のメーカーResearch In Motion(RIM)のものかもしれない。同社の共同CEOあるMike Lazaridis氏とJim Balsillie氏は、Jobs氏の発言はごく単純に問題の責任を転嫁しようとする行為だと述べた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス