Appleはすでに、どのような人々にアピールしようとしているのかを示唆している。それは、コンピュータをもう1台買おうとは思わない人々だ。iPadは、ノートブックに取って代わることを意図したものではない。また、スマートフォンを置き換えようとしているのでもない。その中間のどこかに位置するデバイスの目的は、ややあいまいだ。明らかだと思われることは、Appleが対象としている人々が、必ずしも技術を好まない人で、コンピュータが「仕事」を意味するような人だということだ。中間を占めるタッチスクリーンタブレットが消費者の共感を得る可能性が高くなるのは、消費者がそのデバイスを、仕事としてではなく、本を読んだり、YouTubeのビデオを見たり、Facebookで時間をつぶしたりするような、余暇活動を楽しむ手段として考えるときだろう。
DellやHP、Acerといったメーカーは、それぞれの製品で同様のことを目標とすべきだ。技術に明るい人々を対象にしてメインストリームを排除するべきではない。それは幅広い消費者基盤を構築するのに最適な方法ではない。なぜなら、アーリーアダプターは全体の中でごく小さな部分でしかないからだ。「われわれの製品は『Flash』に対応している」とか「このタブレットはバックグラウンドで複数のアプリケーションを実行できる」というようなことを強調して売り込もうとすると、技術に明るい人の受けはよいだろうが、量販店で買い物をするようなメインストリームの一般ユーザーには、それほど受け入れられないだろう。仕様で売ろうとするのは、機器メーカーの悪い習慣だ。カリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクールのマーケティング教授Rashi Glazer氏は、最近のインタビューで次のように語った。「テクノロジ企業は、メリットではなく機能に焦点を合わせる傾向がある。わたしなら、どのセグメントに売る場合でも、実際のメリットに焦点を合わせたい」
そしてもちろん、そのようなメリットが何になるかは、まだ漠然としている。電子書籍端末だろうか、それともエンターテインメントシステムか、ある種のコンピュータだろうか。あるいは、その3つすべてが当てはまるのだろうか。それによって、マーケティングの専門家が言うように、メーカーは競争の中で「自社の違いを出す」ことができるだろう。このよく分からないマーケティングの話にはうんざりしているかもしれないが、それこそが、各メーカーがやるべきことになるだろう。過去との「違いを出す」方法も見つけたとすればの話だが。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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