現在Googleが検索において直面している競争上の脅威は、同社の独占禁止法担当弁護士が信じさせようとしているほど多くはない。だからといって、かつてのGoogleのような闘志に満ちた新興企業、つまり気付かれないように活動して世界を新たな視点で見る企業に対して、同社が弱くないということではない。Schmidt氏がよく知っているように、Googleの注意の70%を検索に向けるという戦略をとり、楽に大きな収入を得られるビジネスを継続することが、Googleにとっての最優先事項だ。
これは、Google内部で議論を呼ぶ考えであることは間違いない。しかし技術の歴史には、IBMからMicrosoftまで、成功とともに徐々にごう慢で横柄になっていった巨人が多くいる。Googleは、これまで「ノー」という返事をほとんど受け入れたことのないエンジニアの文化を考慮しながら、それと同様の道をたどらないようにする必要があることを分かっている。
端的に言えば、Googleのエンジニアたちは、できるからという理由で何かをする。それは、Googleがさらに多くの市場に参入するにつれて、いつかうまくいかなくなる。なぜなら、Googleのセルフイメージの大部分は悪を避けることを中心にしているが、その考え方は同社製品のユーザーにしか適用されないからだ。競合企業やパートナー企業には適用されない。そういった企業は、自分たちが不公平な競争の犠牲者だと思った場合に(それが本当かどうかは関係なく)非難の声を上げることができる。
米政府がある時点で、Googleが検索広告を独占していると見なした場合、同社がほかの市場に参入するペースは遅くなるだろう。自分たちの仕事の質や有用性を信条とするエンジニアは、そういった制止を一笑に付すかもしれない。しかし規制当局はエンジニアではないし、2010年、おそらくほかのどんな勢力よりもGoogleに対して大きな力を持つだろう。
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