信頼の上にビジネスモデルを築いてきたGoogleは、携帯電話「Nexus One」を正式に発表する準備をする中、難しい立場に立っている。
米国時間12月11日夜、Googleのパーティーで同社の従業員に携帯電話Nexus Oneが無料で配られ、インターネットは大騒ぎになった。その後の週末、このデバイスが待望のGoogle携帯電話だという話が浮上した。Appleは、OSの心臓部を開発して完成した製品にそれぞれのパートナーのロゴを入れることを許すというパートナー重視の戦略ではなく、「iPhone」によって、ハードウェア、ソフトウェア、流通モデルを管理するという戦略を取っているが、それに対するGoogleの答えがこの携帯電話だという。
GoogleのAndy Rubin氏はほんの2カ月前、GoogleがAppleと全く同じ戦略を進める計画だという、TheStreet.comで取り上げられたアナリストのレポートについて尋ねられたとき、あきれた表情を見せていた。同氏は、Googleが独自のハードウェアを作る予定は全くないと述べた。その理由の1つは、スマートフォンのほぼすべてが中国と台湾の契約業者によって製造されているということだが、同氏はさらに踏み込んで、Googleが独自の携帯電話を設計し通信事業者のチャネルの外で販売することが同社にとって悪い考えである理由を、10分ほど費やして論じていた。
この考え方は、Googleに追随する多くの企業や携帯電話業界で共感を呼んだ。結局のところ、「Android」プロジェクトが2007年11月に明らかになって以来、同プロジェクトの目標としてGoogleが明言してきたことは、モバイルインターネットへのアクセス改善に役立つような、多様な携帯電話の「エコシステム」を作り出すことだった。そして、Googleは2009年、10機種以上の携帯電話が世に出て、世界有数の携帯電話メーカーや通信事業者がさらに多くの機種をリリースすることを約束する中、ついにその目標を達成したかに見えた。
しかし、この報道が正しければ、Googleはその戦略から抜本的に方向転換しようとしていることになる。そしてGoogleの新路線は、同社のOpen Handset Allianceパートナーの間に不信感の種をまくことになりかねない。パートナー企業は今ごろ、テクノロジ業界において最も資金力のある企業との販売競争に巻き込まれようとしているのかと考えているに違いない。
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