21世紀のコンピューティングを導くGoogleの戦略の多くは、ブラウザをアプリケーションの主要なプラットフォームにすることができるという考えを中心にしている。このアプローチには、理論的には多くの利点がある。ソフトウェアは、インターネット上で動作する場合、はるかに軽量でモバイル機器に適したものになるだろうし、マルウェアは、ローカルに何かをインストールすることが許可されていないPCを攻撃することはできない。そしてもちろん、インターネットに多くの時間を費やすユーザーは、情報を検索する可能性が高い。
しかし、強奪者というレッテルを貼られずにこの構想を実現させるには、W3CのHTML5ワーキンググループに参加するGoogle関係者が、HTML5テクノロジのさまざまなコンポーネントを、Google以外のブラウザベンダーのコミュニティーと歩調を合わせて承認し、Googleに特別な利点があると取られないようにする必要がある。同社は、この点を非常に真剣に受け止めているようで、このプロセスが早く完了すればするほど、「Chrome OS」といったプロジェクトを、PC市場を独占する試みとして見られることなく進めることが容易になるだろう。
2009年にGoogleにとって最大の悩みの種となったのは、「Google Book Search」に関する作家や出版社との和解かもしれない。その中でGoogleは、役に立つものを重荷に変えてしまった。電子図書館を作るというGoogleの長年の試みは、先にスキャンをして後で承認を求めるというデータベース構築のやり方に腹を立てた作家やプライバシー擁護派、著作権専門家から、猛烈に抗議された。
排他的な大学でかび臭い棚に保管されている書籍を利用できるようにするオープンな電子図書館について、その価値を疑う者はほとんどいない。しかしGoogle Booksとなると、多くの人がGoogleの意図に不信の念を抱いている。そのような恐怖心を囲い込むことができれば、和解に対する辛辣な批判の収束に向けて大きく前進できるだろう。最終公聴会は2月に予定されている。Googleが、米司法省からの批判に応じて既に譲歩していることに加え、この電子資料のセカンドソースとなる独立したパートナーを確保できれば、反対派の論拠の多くを打ち破ることができるだろう。
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