米YahooのVictor Tsaran氏は、ウェブデザイナーがアプリケーションのレイアウトを行う際、色やフォント幅の選択にどれほど時間をかけて頭を悩ませているかを知っている。このため、同氏が2年前、Yahooのアクセシビリティ向上に取り組み始めたとき、アクセシビリティ機能を作成するためにどれほど余分な時間がかかったか不平を言うエンジニアたちの共感を呼び起こすのに、同氏は苦労した。
YahooのアクセシビリティマネージャーであるTsaran氏にとって幸いなことに、こうした問題に直面することはだんだん少なくなっている。ウェブデザイナーは、製品を開発するにあたって、ボタンの位置や見出しのレイアウトと同じくらい真剣にアクセシビリティを考えるようになっており、5歳のときに視力を失ったTsaran氏のような人々に対してだけでなく、一般のウェブユーザーに対しても、ウェブ体験を向上させている。
World Wide Web Consortium(W3C)でWeb Accessibility Initiative(WAI)のディレクターを務めるJudy Brewer氏は次のように語る。「数年前と比べればはるかに、ウェブアクセシビリティに対する認知が広がり、取り組みも進んでいる。とりわけ大手企業で顕著だ。ウェブサイトはすべてのユーザーのニーズに応える必要があるというのが、ビジネス上の大前提になってきている」
世界の2大インターネット企業が、アクセシビリティは今後ますます重要性が高まる業務分野だと考えている。Yahooは新規採用者全員に、Tsaran氏およびスペシャルコミュニティーのシニアポリシーディレクターAlan Brightman氏によるアクセシビリティトレーニングを受けさせている。また、エンジニアリングチームには同社のアクセシビリティラボを見学させている。
Googleは最近、「YouTube」のユーザーがビデオに字幕を追加できるサービスを発表した。アクセシビリティプログラムマネージャーのJonas Klink氏によれば、ウェブがプレゼンテーションの時代から双方向の「データ中心」コミュニケーションの時代へと移行するにつれて、アクセシビリティが一層重要になるとGoogleは確信しているという。
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