こうした提案の多くがなされはじめてからの10年間で、ウェブアクセシビリティは大きな進歩を遂げた。だがウェブコミュニティーにとって、HTML5のようなインターネット体験を完全に変え得る刺激的な新技術を推し進める際に、1分間当たり60単語のタイピングができない人や、マウスを外科用メスのように扱えない人、ページ上で次の行き先を示す目立たないポップアップウィンドウを見ることができない人たちのニーズを心に留めておく必要性を忘れないでいることは、いまだに1つの課題だ。
「ウェブが動的になればなるほど、アクセシビリティの要件を満たすのはより興味深くなり、時には難しくなる」(Brewer氏)
YahooのBrightman氏によれば、米国には、通常のやり方でコンピュータを使ってインターネットを利用することができない人が、およそ6000万人いるという。こうした人々は、マウスやQWERTYキーボードの代わりに、スクリーンリーダソフトウェア、特別なボタンが付いたキーボード、さらには動作検知ウェブカメラを組み合わせて使う必要がある。
このことがウェブデザイナーにとって問題となることがある。ウェブデザイナーがマウスによるナビゲーションに大きく依存している場合や、見ることのできる人にとってのみかっこよく見えるようなインパクトのある特別なマルチメディア効果を使ってページをデザインする場合だ。GoogleのテクニカルプログラムマネージャーNaomi Bilodeau氏は、「ウェブには等質性という前提があってよい」と述べる。
スクリーンリーダ(基本的にページ上のテキストによる記述やリンク、ボタンを読み上げるソフトウェア)のユーザーは、CAPTCHAやFlashを使ったウェブページに最も困惑させられているということが、WebAIMが最近行ったスクリーンリーダ利用者調査で示されている。
だが、写真や画像のような単純なものも、ウェブパブリッシャーが写真に代替テキストを加えていなかったり、ページ上の内容を説明する手段を主に画像に頼っていたりする場合、問題を引き起こすことがある。また、ウェブデザイナーが、ウェブコンテンツをメインのウェブページの上に重ねるためのJavaScriptやAjaxベースの技術を推し進めるにつれ、スクリーンリーダを混乱させる可能性が非常に高くなる。
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