Firefoxへの熱意から見ても、Googleは明らかにもっと多くを望んでいた。同社は2008年9月、Chromeウェブブラウザの最初のベータ版をリリースした。このソフトウェアは、パフォーマンス、セキュリティ、オープンソースといった、Firefoxの有用性をいくつか採用していた。そればかりでなく、ウェブアプリケーションのための確固とした基盤や、迅速なリリースサイクルといった、Googleらしい価値ももたらしていた。
突然、余剰資金を潤沢に持つウェブ中心の大企業も、2001年時代の「Internet Explorer 6」から世界を解放しようと試みたのだ。
主に、ChromeがMozillaの将来に及ぼす影響について、同社が多くの疑問に答える必要が生じたという点で、「少し混乱が起きた」とShaver氏は述べている。
しかし、その影響はエンジニアリングにも及んでいる。
Chromeが登場して以来、Mozillaは、Firefoxのパフォーマンスに新たに重点を置き、リリースサイクルを速め、ウェブコンテンツを表示する領域を広げるためにブラウザが占める面積を最小化しようとしている。この先には、「Firefox 3.6」「Firefox 3.7」「Firefox 4.0」という積極的なロードマップが設定されている。そしてMozillaは、一部の人がFirefoxに貼った「ブロートウェア」というレッテルを振り払おうと努力している。
両者の関係はおおむね良好であるようだ。実際に、ChromeとFirefoxの開発者は、ウェブを支えるHTMLを改良する取り組みにおいて、同盟関係にある。
「Googleは、Microsoftよりもウェブをさらにもう1段押し上げた。そこでは、別のレベルの競争がある。しかし、Chromeの目標がFirefoxに害を及ぼすことだとは思わない。Googleは自分たち自身のコントロールチャネルが欲しかった」(Shaver氏)
だが、Shaver氏は、総合的に見てFirefoxの立場は強固なものだと考えている。同氏はその根拠として、成長が持続していることを挙げた。「Firefox 3.0」のユーザー数は推定で1億6000万人だったが、現行の「Firefox 3.5」のユーザー数はその約2倍に拡大している。
「われわれが配布したFirefoxのほとんどすべては、ユーザーがわれわれのウェブサイトにアクセスして、ダウンロードしたものだ。そこには自発的行為があり、われわれはそれをとても大切にしている。3億5000万人のユーザーがいるかもしれない。その規模なら、本当の意味でメインストリームに浸透したと言える。われわれは、自分が使うソフトウェアについて考えることのない人々の生活にまで影響を及ぼしている。そして、今の成長率は、成長が鈍化する兆しを全く見せていない」(Shaver氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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