カリフォルニア州マウンテンビュー発--Mozilla Messagingは、その存在のほぼすべてについて、電子メールソフトウェア「Thunderbird」で知られている。同ソフトウェアには、ユーザーのコンピュータ利用の中心にあるのはPCだという伝統的な見方がある。
だが、このところ、Mozilla Foundationの子会社である同社が扱う対象は、ユーザーのデスクの下やひざの上にあるコンピュータという枠を越えて拡大している。短期的には、新しい「Thunderbird 3」でウェブとの連携強化が図られる。そして、より長いスパンで見ると、「Raindrop」プロジェクトがユーザーの受信トレイをクラウドにまで移行する可能性を秘めている。
「われわれにとって、Thunderbirdがあるということは本当に重要だ。同時に、そのシナリオによって視野が狭くならないようにすることも重要だ」とMozilla Messagingの最高経営責任者(CEO)であるDavid Ascher氏は、当地の同社本社でのインタビューで述べた。Raindropでは「ウェブアプリケーションでの最高のメッセージング体験に注力している」(Ascher氏)
こうした変化は、変わり続けるというコンピューティングの本質を反映している。かつてThunderbirdの主なライバルはMicrosoftの「Outlook」のようなソフトウェアだったが、今はGoogleの「Gmail」といったウェブベースのサービスも相手にしなければならない、とAscher氏は述べた。
Thunderbirdは今でも優先事項の1つだ。当初の予定より1年近く遅くなったものの、今週にはThunderbird 3がほぼ完成形で登場する予定だ。Mozilla Messagingはこの新しいバージョンについて、処理速度と使い勝手が向上しているほか、サードパーティーの機能拡張の追加によって多機能性も備えたものになると大きな期待を寄せている。
Raindropは、電子メールだけでなく、TwitterやFacebookメール、インスタントメッセージングといったほかの通信経路からもメッセージを取り込むウェブアプリケーションで、Mozilla Messagingはこれを究極の受信ボックスとでも言うべきものと考えている。Raindropは、今日の過剰な通信チャネルを統合することだけではなく、重要なものを優先して随意的なものは都合のよいときまで処理を保留できるよう支援することも目指している。
「われわれは、1つのリストに時系列で入ってくるという概念を壊そうとしている」とAscher氏は述べた。人間の脳は直近に到着したものが一番重要だと考えがちだが、それは必ずしも事実ではない。
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