このWND Telecomというメーカー、なぜこんな変態チックな両面ケータイを作ったんだろう?またDUO 2000のボディーのつくりは結構しっかりしており、最近の中国のトンデモクオリティーとは一線を画している。そこらの町工場が作ったアイディア商品とは思えない出来だ。そんなきっちりした製品なのに「ただ2枚くっつけだけ」という安易な発想が謎・謎・謎なのだ。
DUO 2000は「韓国製」、実はそこに秘密が隠されている。韓国といえばSamsungとLGの2台勢力がケータイの世界シェアを着々と拡大中だが、2005年ころは他にも数社のメーカーが世界中に進出を図っていた。しかし熾烈な競争に敗れていったメーカーもあったのだ。
その1つが「薄型ケータイ」で差別化をはかり、市場で一定の地位を築き上げたVK Mobileである。他社が高機能化路線を走る中、同社は「ケータイは薄くなくてはならない!」とばかりにラインナップのほとんどをスリムケータイにするという大胆な戦略を突っ走っていた。だが「薄い」だけじゃなかなか売れないんですよねー。てなことで2006年にVK Mobileはあっけなく倒産してしまったのだ。
倒産前の主力モデルは「メタリック&薄型8.8mm」のVK2000で、これは結構広い地域で販売されていた。このVK2000と今回紹介したDUO 2000を見比べてみよう。メーカー名の部分以外、全く同じ!?そう、ようやく謎が解けたとおもう!WND Telecomは倒産したVK Mobileの在庫品なり工場なりを買い取って、このDUO 2000を作り上げてしまったということなのだ!
しかもただそのままブランド名を変えただけでは売れないことはわかっていた。そのままでは不良在庫になってしまうケータイの山、これをどうしたらいいのだろう?産業廃棄物として処分し、そこから素材をリサイクル利用する?いやいや、電源入れれば使えるケータイをなんでわざわざお金をかけて分解しなくてはならないのだろう?そんなのモッタイナイー!
「どーするかねー、この在庫の山」「薄いっすねー」「薄いよなー」「じゃー2枚張っちゃおうか」「あ、それいいかも」「んじゃちょっくらやってみるわ」なんて安易な発想だったのかどうかはわからないが、本当にそれを製品化してしまうあたりがすばらしい。よほどのアイディアマンでもこんな発想は思い浮かばないはずだ。
なおDUO 2000の販路は主に中東地域だったらしい。アジア製の超小型ケータイながら、メタリックなイメージ、そして両面が使えてしまう!こりゃアラブの大富豪もビックリ、ついつい買っちゃうかも、なんてこと考えていたのかもしれない。ま、結論からすると全然売れなかったのね(笑)。末期は香港などで数千円の処分価格で投売りされてしまったようだ。筆者ももちろん、買ったのはその格安品である。
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