中国トンデモケータイメーカー(勝手に命名)たちは、日夜“差別化”に取り組んでいる。そんな中から生まれた「タッチパネル&手書き入力」「SIMカード2枚対応のデュアルSIM対応」は、今や中国の大手メーカーまでもが標準搭載する機能になった。トンデモケータイメーカーの努力は、決してバカにはできないのである。
このうち、「デュアルSIMカードケータイ」は当初待ち受けが片方のSIMカードのみで、切り替えも電源のON/OFFが必要であった。しかし今では両方のSIMカード、すなわち2回線の同時の待ち受けが可能であり、片方のOFFや切り替えもメニューから再起動なく行える。中国ではもうSIMカードの2枚挿しケータイなんて、珍しくともなんともない時代になっているのだ。
デュアルSIM対応が当たり前なので、今ではこの機能を売りにするトンデモケータイはほとんどないのが現状だ。ところが最近になって再びSIMカードの「複数枚対応」を売りにするケータイが出てきた。まさか2回線同時通話が可能なのか?──いくら中国でもそんな使いにくいケータイなんて出さないはずだ。では一体何が売りなのだろう?筆者はさっそくそのケータイを買って使ってみることにした。
入手したトンデモケータイは金特宇(Jinteyu)というメーカーのV678というもの。もちろん聞いたことないメーカーだ。パッケージは音楽ケータイっぽさを出すなどがんばっているようである。でも「自称・音楽ケータイ」なんて中国じゃいくらでもあるからこれくらいでは珍しくとも何ともない。
一体このケータイのどこに特徴があるのだろう。パッケージの裏に書いてある機能説明を読んでみることにした。まぁ、ごくごくフツーの「トンデモケータイ標準機能」がずらりと記述されている。ところがその中になにやら不思議な表記があるではないか。「3枚カード」。え、も、もしや3枚ってSIMカード3枚ってことなのかっ?
確認するために本体裏の電池蓋を開けてみると、確かにある!SIMカードスロットがA、B、Cと3枚もあるではないかー!SIMカード2枚挿しケータイはこれまでいくらでも見てきたが、SIMカード3枚挿し対応ケータイなんて初めて見た!てかありえない発想だ。だってSIMカードを2枚使う人だってそんなに多いとは思えないのに、3枚使う人なんてどれくらいいるのだろうか。
まぁ「誰が使うか」とか「売れるケータイを」なんて発想はマーケティングをやっている人に任せればいい。「他と違うものを作りたい!」というパワーが時には重要なのだ。SIMカードが2枚しか入らないから不便という声があったのではなく、「なぜ3枚入らないのだろう」「なければ作ってしまえ」と勢いで製品化しちゃったんだろうなぁー。
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