PC業界にとっては異例の現象として、2009年の世界のPC出荷台数は、2008年の出荷台数を下回ることになりそうだ。
実のところ、世界のPC出荷台数が前年を下回るのは、IT業界が急速に失速した2001年以降では初の事態になると、iSuppliの調査は明らかにしている。米国時間7月14日に発表されたiSuppliのリポートによれば、2009年の世界のPC出荷台数は2億8730万台と予測され、2008年に記録した2億9920万台と比較して、4%の下落率になるという。
すでに当初から、2009年の出荷台数に大きな期待は持てないと考えられてきており、iSuppliは、前年比0.7%増の成長を見込んでいたものの、その予測をも下回る結果に終わりそうである。過去8年の間、PCメーカーは前年を上回るペースで出荷台数を記録してきており、今回の落ち込みは異例の事態であると言えそうだ。iSuppliのアナリストであるMatthew Wilkins氏は、「たとえ振るわない年であっても、これまでPC出荷台数は、1桁台のパーセンテージポイントで前年比増は維持してきた」と述べている。
2009年の落ち込みの最大要因としては、デスクトップPCの衰退が挙げられる。2009年のデスクトップPCの出荷台数は、前年比18.1%減に終わると見られ、ノートPCの人気が高まってきているのとは対照的である。2009年のノートPCの出荷台数は、前年比12%増に達する勢いで、年間を通じてでは初めてのこととして、デスクトップPCの出荷台数を上回ることになる。
PCの購入者がモビリティを重視する傾向は、この数年間で一層顕著なものになってきており、ノートPCの性能向上により、この傾向は消費者の間でさらに強まってきている。PCメーカーは過去数年に渡って、再びデスクトップPCの販売を活性化させるべく、さまざまな方法を模索してきた。多くのメーカーが、オールインワン型のデスクトップPCに活路を見出そうとしてきたのに対して、タッチスクリーンのインターフェース搭載を目指したメーカーなども登場したが、iSuppliの調査で示されているように、メインストリームの消費者層は、あまりこうした戦略に乗ってきてはいないようだ。
PC業界の落ち込みの別なる要因としては、大企業などの間でIT支出が急激に減少している点がある。とはいえ、良いニュースもありそうだ。Dellの最高財務責任者(CFO)は13日、コンピュータ、サーバ、サービスなどの分野で、需要の安定化が見られるようになってきており、市場は底を打ったと考えているとの見解を表明した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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