ヤフーは4月6日に、テレビ向けのインターネットサービス「テレビ版Yahoo! Japan」(http://dtv.yahoo.co.jp)をスタートした。これはあらゆる製品からネット接続を推奨する「Yahoo! everywhere構想」の一環として提供する新サービスだ。
パソコン、携帯電話以外のデバイスからもインターネットへの接続の機会を作る。ヤフーが考えるYahoo!everywhere構想は、ネットとテレビの関係にどんな効果をもたらすのか。またテレビライクに仕上げたテレビ版Yahoo! Japanは、インターネット対応の薄型テレビのどんな新機能となるのか。
テレビ版Yahoo! Japanの開発を手がけたR&D統括本部プラットフォーム開発本部EW開発部部長の坂東浩之氏、フロントエンド開発本部EW開発部部長の村上臣氏、フロントエンド開発本部EW開発部ディレクション4の住友永史氏に、開発の経緯から新サービスまでお話を聞いた。
坂東:ネットとの親和性ですね。すでに家庭内のブロードバンド環境は何千万件と整っています。あとはインターネット対応機器が登場すればいい状態にあった。一方で2008年にはテレビメーカー5社からネット対応のテレビが発売され、地上デジタル放送へと切り替わる2011年までにはさらに買い替えが促進されるでしょう。そういった背景からも、Yahoo! everywhere構想の浸透力が最も高いのはテレビと考えました。
坂東:確かにテレビは一斉同報同時に同じ情報を見る、ネットは一人ひとり違う情報を得る、と現時点では逆側にいますが、今後は新たなライフスタイルを提供する形になるのではないかと。一斉同報に見ているものから、ネットの情報に引き継ぐといったような放送と通信のハイブリッド型のサービスが出てくると思います。
住友:検索性ですね。PCでは、情報を貪欲にとりにいくための検索性が必要とされますが、テレビでは受動的なものが要求される。そのため視聴者が文字を入力しなくても気になったキーワードをすぐに検索できるよう「急上昇キーワードランキング」「検索総数ランキング」などをテレビ用に最適化しています。ランキング内容はPC版のものと同様ですが、トップページにもランキングを一部表示するなど、アクセスしやすいようレイアウトしました。
また、今回はトップページと検索ページをテレビ用に最適化させましたが、この2つはどんなテレビでもネット対応であればきちんと表示させるというところに苦労しました。デジタルテレビ情報化研究会のネットTVガイドラインに準拠して制作しているんですが、やはりそれだけで作れるものではなくて……。
坂東:ブラウザって一言で言ってしまえば簡単なんですが、テレビごとに微妙に違う動きをしたり、同じメーカーでも昔のモデルと最新のモデルでは動作が異なったりしますから。
住友:ネット対応というと最新モデルばかりと思いがちですが、早いメーカーだと数年前から対応機が発売されているんです。なので、古いモデルで表示できるベースを作って、新モデルで検証してみると今度は表示サイズがかなり小さく映ってしまったりと。この辺りは試行錯誤しながら、修正しては検証の繰り返しでしたね。
坂東:表示に関しては社長の井上(雅博氏)が最もこだわった部分でもありますね。
村上:ヤフーの原理原則というか、どんな条件であってもきちんと表示させるというのがポリシーなんです。これはPCのブラウザの種類、バージョンが増えてきた時もそうでしたし、あれだけ画面サイズとブラウザの種類が異なった携帯電話でも同じです。
坂東:スクロールさせないで、どれだけ情報を見せられるかですね。PC画面でスクロールさせるのは当たり前ですが、テレビでスクロールって合わないなと。
住友:テレビ画面でPC版Yahoo! の画面を見ていただくとわかりますが、ファーストビューでは重要な部分がほとんど見えないんです。テレビ版ではファーストビューでいかに情報を入れ込むかにこだわりました。
坂東:あとは文字の大きさですね。今回は「3m離れても見える」を前提にしています。
住友:ファーストビューで見せられる情報量を確保しつつ文字も大きくしないといけない。そうした条件をクリアした上でシンプルなレイアウトにしました。要素が多すぎるとリモコンのカーソル移動でリンク選択をしたときに、合わせづらくなりますから。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?