グーグル書籍検索訴訟の和解案--「孤児作品」をめぐり表面化する懸念 - (page 2)

文:Stephanie Condon(CNET News.com) 翻訳校正:川村インターナショナル2009年04月15日 07時45分

 また、2009年3月のWired.comの記事では、法的な異議申し立てを行うことを計画しているニューヨークロースクールのあるグループが、Googleの主要な競争相手であるMicrosoftから資金援助を受けていることが指摘されている。

 孤児作品の将来は、2008年に、連邦議会の上院を通過した2008年孤児作品法(Orphan Works Act of 2008)が下院の委員会を通過できなかった時点で、不安定な状態に置かれた。この法案が通過していれば、個人や団体が、事前に正当な所有者を探し出す入念な努力を行ったことを前提として、一定の条件のもとで孤児作品の素材を使用できるようになるはずだった。

 政治家たちがObama大統領の優先事項に注力し、下院と上院の司法委員会が特許制度改革に力を入れる中で、この問題は議会内で棚上げとなった。ところが、この和解案によって、孤児作品がオンラインで利用できるようになることに関心を持つ人々にとって、この問題は再び時の話題となった。

複雑な条項

 この和解は集団訴訟を解決するものであるため、著者らは和解契約から自身を「除外」することを選択する権利を持つ。しかし和解条項には、著者が申し出ない場合は、Googleがその著者の作品をデジタル化する権利を持つと記載されている。よって、Googleはそれらの作品をデジタル化することを選択した場合に何ら責任を問われることはないが、それらの作品を使用することに関心を持つほかのグループは、依然として著作権侵害のリスクに直面することになる。

 一方Googleは4月10日、米著作権局に宛てた2005年の書簡で示した考えは今でも変わっていないと述べた。その書簡で同社は、所有者を「探す合理的な努力」をした場合には著作権法上の違反が限定されるようにすべきという提案を含め、孤児作品に関する規則の案を提示していた。

 Googleの弁護士Alex Macgillivray氏は、米CNET Newsに対する10日の声明の中で次のように述べている。「われわれは、孤児作品に対するアプローチを強く支持している。これは、善意の再利用者が埃をかぶった棚から古い貴重な書籍を取り出して、公共の利益のために流通させることを妨げる法律上および実質上の障害を真の意味で取り除くものだ。孤児作品に関する効果的な法律とは、所有者を捜す『入念な努力』の定義について明確で『客観的な』基準を定めて、この基準を満たした利用者が不当な法律上の不確実性にさらされることなく、自身が法律に違反していないことに安心できるようにするものでなければならない」

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