伝統あるメディア企業が、再びGoogleなどのニュース集約サイトを強く批判している。
その批判の主は、The Wall Street Journal(WSJ)とThe Associated Press(AP)の上層部の人たちだ。彼らの口からは、法的な異議申し立てを示唆する発言や、ニュース集約サイトに対する中傷も飛び出した。
オーストラリアの新聞The Australianが現地時間4月6日に掲載した記事によると、WSJの編集長を務めるRobert Thomson氏は、「ある種のウェブサイトはいわば、インターネットの消化器官に生息する寄生虫、つまりテクノロジ分野のサナダムシという表現がふさわしい」と述べ、さらに次のように続けた。「たしかに、読者は、大半のコンテンツが無料である状況に慣れ、そうあるべきだと考えるようになった。しかし、それは間違っていると考える。また誤った認識が、Googleなどのニュース集約サイトの利益になっているのは間違いない。そして彼らは、他人が創り出した価値を利用したビジネスをしていることを認める気はほとんどない」
また、100年もの歴史を持つ通信社であるAPの会長William Dean Singleton氏は米国時間4月6日、サンディエゴで開催された同グループの年次総会でニュース集約サイトについて発言した。同社のウェブサイトには、その時のSingleton氏の発言内容が掲載されている。同氏は「見当違いの法解釈で、他人がわれわれの著作物を奪うのをもはや黙って見ているわけにはいかない」とし、さらに「われわれは猛烈に怒っており、もはや我慢の限界だ」と続けた。
Googleは以前から、ニュースサイトの所有者に対してGoogleの検索エンジンがニュースサイトをクロールしたり、ニュースの見出しをインデックス化するのを阻止する手段を提供すると主張してきた。Googleはブログ投稿で、「ウェブ上のコンテンツ発行者は、検索結果にどのページを表示させるかをかなり管理できる」とし、さらに次のように続けている。「重要なのは、robots.txtと呼ばれる簡単なファイルだ。robots.txtは長年、業界の標準となっている。このファイルを利用することにより、サイトの所有者は、検索エンジンが自分のウェブサイトにどのようにアクセスするかをコントロールできる」
APとWSJが同じ日に発言したため、伝統的メディア間で何らかの共同作業が進んでいるのかと疑問に思う人もいるかもしれない。しかしWSJの広報担当によると、それはないという。
とはいえ、印刷媒体大手2社からの発言によって、Googleが新たな著作権所有者らとまた戦うことになるのではないかと、疑問に思わざるを得ない。Googleは現在、MTVを傘下にもつViacomから2007年に提訴された著作権侵害訴訟を抱えている。
絶版本をスキャンしてデータベースで保存する取り組みも、訴訟に直面した。米作家協会(Authors Guild)や米国出版社協会(Association of American Publishers)とは和解したが、Consumer Watchdogという団体が、この合意は反競争的だとして、米検事総長Eric Holder氏に対し、介入を求める書簡を送っている。
GoogleはAPとはコンテンツ利用契約を結んでいる。このため、発行部数で米国第4位の新聞社であるMediaNews Groupの最高経営責任者(CEO)も務めるSingleton氏は発言でGoogleを名指ししなかったのであろう。APの広報担当は、APとAPに加入する1000以上の新聞社は、「コンテンツの横領」と戦ううえでGoogleの支援を取りつけたいだけであると述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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