iMovieのテーマ機能も、GarageBandのレッスンと同様のアプローチとして評価できる。ビデオを並べてあげれば、適宜トランジションを追加して、ビデオ作品として見栄えがする編集を施してくれる機能である。
これは、ユーザーがなるべく簡単に、見栄えの良い作品を作り出す経験をしてもらうためのお膳立てのようなものだ。皆が同じテーマを使ったら、確かにオリジナリティある「編集」はなくなるかもしれない。しかしカジュアルユーザーに必要なのは、編集というワザのオリジナリティよりも、簡単に手早く見栄えがするものを量産できることだ。
ここにiLife '09の存在価値と、iLife '09が動くパワフルなMacの存在価値が現れてくる。
現在ネットブックが予想以上のヒットを飛ばしている。確かにすべての作業がブラウザの中で完結してしまう世界では、軽くて電池が持ち、何より安価なネットブックは絶好の製品になる。しかしテキストやちょっとした写真のアップロード以上の作業をしようとすると、とたんにマシンパワーがなかったり、ストレージが小さいという障害が現れる。
ネットブックが売れているからこそ、それらとMacの差異化がより明確になったのではないか、と思うのだ。ネットにつながったMacの役割とは、個人が簡単にコンテンツを量産して、ソーシャルな場にコンテンツ提供するということだ。それなら、出先はネットブック、家にはMac、という組み合わせでコンピュータを揃えるのも納得がいく組み合わせとなる。
そのため、iLifeの各ソフトは、ソーシャルウェブサービスとの連携を進めている。iMovieは前バージョンからYouTubeへのアップロードに対応している(残念ながら、最近対応したYouTubeへのHDムービーとしての書き出しは、iMovie上からはできない)。そしてiPhotoはFacebookとFlickrに対応した。さらにiWebはMobile Me以外のFTPサーバへもページを書き出せるようになった。
こうして、 iLife '09という存在は、 Macをコンテンツクリエイションの場として光らせることに成功しつつある。もちろんそれは、ユーザーがコンテンツを作りながらウェブを活用して楽しい生活を送る、というライフスタイルへのadd-onも十分に役割として果たしていくことだろう。
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