市場調査グループのNPDは、Appleの「iPhone 3G」が、2008年第3四半期(7〜9月期)における携帯電話販売ランキングのトップに立ったことを明らかにした。
7月に発売されたばかりのiPhone 3Gは、Motorolaの「RAZR」に代わって、消費者の間で最も多く購入された携帯電話になったと、NPDは発表している。
2004年に初めて発売されて以来、MotorolaのRAZRが、12四半期連続で、常に携帯電話販売ランキングトップの座を占めてきた。しかしながら、NPDによると、「RAZR V3」は、ついにiPhone 3Gにトップを譲り、2位に後退した。RIMの「BlackBerry Curve」が3位、LGの「Rumor」が4位、LGの「enV2」が5位に入っている。
初代iPhoneが発売されてから1年以上もの間、ボタンのない斬新なデザインや、最先端のインターネット機能をめぐって、業界では、さまざまな評価が飛び交った。iPhoneが携帯電話市場に革命をもたらしたとまで述べる業界の専門家も少なくなかった。クールなタッチスクリーンを搭載するスマートフォンの発売を目指す多くの競合メーカーがひしめく中で、確かにiPhoneは流れに火をつけた。
初代iPhoneは人気を集めはしたものの、3Gネットワークの速度をサポートする、最新バージョンのiPhone人気は、それを上回っているようである。Appleの2008会計年度第4四半期(7〜9月期)の決算報告において、同社はこれまでの四半期決算を総合した、初代iPhoneの全販売台数をも上回る、690万台ものiPhone 3Gが販売されたとの発表を行った。結果として、同社は、2008年内に1000万台以上を売り上げるとの目標を達成することになる。
新しいiPhone 3Gで最大のヒット要因は、おそらく販売価格である。米国内で独占的にiPhoneを販売しているキャリアのAT&Tは、2年契約を条件に、200ドルでiPhone 3Gを販売している。この価格こそ、顧客にとってのスイートスポットとなっているようである。
もちろん、3Gネットワークで、より高速になった通信速度や、Appleが新たに提供を開始した「AppStore」なども、iPhone人気を押し上げる上で、重要な役割を果たしてきたと考えられる。
しかしながら、経済事情の悪化に伴って、このトレンドが今後も続くのかどうか興味深いところである。NPDは今回のリポートの中で、米国内市場全体の携帯電話販売台数は、前年同期比で15%減となり、携帯電話販売全体の売り上げも、約10%減に終わったことを伝えている。
iPhone本体の200ドルという購入価格は、たとえ景気後退の厳しい局面でも、それほど消費者に障壁とはならないかもしれないが、(毎月の)サービスプランのコストは、大きな障壁となりかねない。現在、AT&Tの顧客は、(iPhone向けの)音声およびデータサービスの料金プランに、少なくとも毎月70ドルを支払わねばならない。また、テキストメッセージの料金プランは、別に購入することになる。無制限のテキストメッセージの料金プランには、さらに毎月20ドルの支払いが求められる。一方、AT&Tが提供する最も安い音声料金プランは、2年契約のセットが前提となるものの、毎月およそ40ドルで、大抵のケースとして、携帯電話本体は無料で入手できてしまう。
経済事情の悪化に伴い、今後は消費者が、どのように反応してくるのかを予測することは難しい。米国内の携帯電話通信事業者大手の複数の幹部が、たとえ毎月の家計を切り詰める必要が生じたとしても、消費者が携帯電話を解約する可能性は低いとの見解を示している。とはいえ、より安価なサービスプランに移ったり、AT&TがiPhone向けに提供しているような、より高価な料金プランへのアップグレードは、少なくとも見合わせるようになったりする可能性は高い。そして、これこそが、iPhoneのアキレス腱であることが明らかになってくるかもしれない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス