Googleは、米Yahooへ新たに大幅な収入の増加をもたらす可能性があったものの、独占禁止法違反に関する懸念をも引き起こした、Yahooとの検索広告提携を中止することを決定した。
Googleの最高法務責任者(Chief Legal Officer:CLO)であるDavid Drummond氏は米国時間11月5日、公式ブログで、「提携合意案に加えるべき、ありとあらゆる修正案の協議も含め、これまで4カ月に渡って、提携を慎重に検討してきたものの、両社の提携に関して、政府の規制当局や複数の広告主が、今後も懸念を抱き続けるであろうことが明確になった。この提携を推し進めることは、法廷闘争を長引かせるのみならず、われわれの重要なパートナーとの関係にまで悪影響を及ぼすことになる危険性が高い。それはGoogleないしユーザーの長期的な利益に反するものとなるため、われわれは、この提携を断念することに決定した」との声明を発表している。
しかしながら、Yahooは、この結果に満足していない。
Yahooは「両社の提携には多くの利点があると、現時点でもYahooは確信し続けており、Googleが、法廷で闘うことなく、提携案を撤回する決定を下してしまったことに失望している。Googleは、Yahooが司法省に対して、その懸念を払拭すべく、新たな両社提携に関する修正案を提出したにもかかわらず、司法省が、提携を阻止する意向を示したのを受けて、今回の提携を今後も推し進めるのは中止にしたいと伝えてきた」との声明を発表した。
両社の提携中止は、Yahooにとっては、新たな打撃となる。いまやYahooの株価は、Microsoftが、1株当たり33ドルもの提示額で、一方的に買収を持ちかけてきた数カ月前と比較して、すっかり低迷してしまった。Yahooの株価は、4日の終値で13.35ドルを記録した。だが、5日午前中には、前日終値より4%アップして、57セント高となる13.92ドルで取り引きされている。
YahooとGoogleが、6月に検索広告分野での提携を発表した時、Yahooは、初年度で売り上げを8億ドル増やし、2億5000万〜4億5000万ドルの営業キャッシュフローの増加につながると説明されていた。
提携により、Yahooは、Googleが提供する広告を、一部のYahooの検索結果に表示させ、結果として生じる売り上げを、両社で分け合う計画になっていた。また、Yahooは、両社の広告提携が実現するならば、「Panama」と呼ばれる自社開発の技術では、関連する広告を掲載できなかったページ上にも、新たに広告を表示可能になる予定だったことが明らかにされている。
とはいえ、この提携案は、数々の反対に直面し、そのうち最大の障壁は、司法省の反トラスト規制当局によるものであった。提携中止の発表を受けて、規制当局は、それを歓迎する意向を表明している。
司法省反トラスト局を担当する司法長官補佐のThomas O. Barnett氏は、「両社の提携断念により、われわれが実施した調査で明らかになっていた、独占禁止法違反に関する懸念が払拭され、何らかの法的措置を取る必要性もなくなった。もし両社が提携を推し進めたならば、低価格で、より良いサービスを提供し、さらなる革新的な技術開発が進むという、競争原理によって消費者にもたらされる利益が否定されかねなかった」と述べている。
これとは別に障壁となったのは、Microsoftからの反対である。Microsoftは、検索クエリおよび検索広告の分野で、GoogleとYahooに続く、第3の地位を占めている。また、おそらくは全米広告主協会(ANA)による反対も、かなり大きな障壁になったと思われる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス