不安定な経済情勢にもかかわらず、性能を抑えた低価格ノートPCが売れ行き好調なおかげで、PC業界全体は表面的にはうまくやっているように見える。
市場調査会社のGartnerが米国時間10月14日に発表した最新の4半期レポートによれば、2008年第3四半期の世界市場でのPC出荷台数は、前年同期比15%増の8060万台に達したという。だが、米国市場の状況はそれほど明るくない。
GartnerのPCアナリスト、Mika Kitagawa氏によると、おそらく消費者による経済への懸念が理由で、2008年第3四半期には500ドル未満のPCが多数売れたが、世界的なNetbook市場が創成されつつあるのか、あるいは低価格ノートPC市場を浸食しているのか、まだはっきりしないという。
いずれにしても、EMEA(欧州、中東、アフリカ)地域における2008年第3四半期のPC販売台数は、米国市場の5倍のペースで伸びて2880万台に達した。
Netbook市場への参入が最も早かったASUSTeK Computer(ASUS)とAcerの2社は、努力が報われつつある。両社は2008年第3四半期にかつてないほどの成長を果たした。今やAcerは、EMEA地域のPC市場で長年にわたって首位に君臨してきたHewlett-Packard(HP)に代わり、トップベンダーとなった。AcerがNetbookの出荷に総力をあげて取り組んだことが、この首位交代の主因になったと、Gartnerは指摘している。
1年ほど前にGatewayを買収したAcerは、世界市場第3位のPCメーカーという地位も揺るぎないものにしている。Acerの2008年第3四半期のPC出荷台数は1000万台をわずかに上回り、前年同期比47%増となっている。世界市場でのシェアも12.5%と好調だ。
かつてLenovoとシェア争いを繰り広げてきたAcerは、今では上位のDellとの差を詰めている。第3四半期のPC市場でのシェアは、Dellが13.6%で第2位、HPが18.4%で首位を守っている。Lenovoはシェア7.3%で第4位にとどまり、25.8%というAcerに次ぐ高成長率を記録した東芝は、シェア4.6%で引き続き第5位となっている。
だが、米国市場での2008年第3四半期のPC出荷台数は、前年同期比で4.6%増と低調だった。通常なら新学期に向けてPCの売り上げが伸びる四半期だけに、これは良くない数字だ。また、主流のノートPCとデスクトップPCの価格が下がり続けても、小売業者が期待していたほどの販売促進にはつながらなかった、とGartnerのKitagawa氏は指摘する。
米国市場でのメーカー別PC出荷台数では、29.5%を占めるDellが依然として第1位で、HPがシェア25.7%でDellに迫っている。Appleは、10月14日までノートPCの製品ラインを一新していないにもかかわらず、米国市場全体の成長率の6倍に相当する成長(シェアは9.5%)を達成し、出荷台数は前年同期比約30%増だった。市場シェアが9%をわずかに下回るAcerは、前年同期比11.2%の成長を遂げ、東芝はシェア5.6%で第5位にとどまった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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