UPDATE 台湾のPCメーカーAcerは米国時間8月27日、カリフォルニア州アーバインに本社があるGatewayを7億1000万ドル(1株あたり1.90ドル)で買収すると発表した。
これは全く予想されていなかった動きではない。Acerは2007年に入ってから、PCメーカーを買収し、世界第3位のLenovoからその座を奪いたい意向を明らかにしていた。本買収により、Acerはその希望をかなえることになる。調査会社IDCによれば、両社のPCの合計出荷台数は世界シェアの8.1%に相当する1860万台になるという。AcerはLenovoを抜いて、Hewlet-Packard、Dellに次ぐ業界第3位のメーカーになる。
IDCのアナリストRichard Shim氏は、「現状を考えると、買収は妥当な措置だといえる。整理統合は成熟したPC市場で、速い成長を遂げるための手段だ」と語っている。
Acerが重視しているのは「速く成長すること」だ。同社は、ここ3年連続で最も速い成長を遂げているPCメーカーでもある。Acerは2006年、出荷台数を約40%も増やしている。
Acerにとって、今回の買収は米国市場におけるシェア拡大も意味する。出荷台数ベースでは一気にPCメーカーのトップ集団に加った同社だが、小売店でのノートPCの販売は苦戦してきた。Gatewayも数年前から苦戦が続いているため、今回の買収は両社にとって理にかなっている。
果たして、買収は成功するのだろうか?歴史を振り返ってみても、業績の低迷するPCメーカーを買収して成功することは難しいことが分かる。市場におけるマージンの低さを考えればなおさらだ。GartnerのアナリストCharles Smulders氏は、「HPによるCompaqの買収は成功例の1つ。しかし、それも成果が上がるまでに3年を要した。今回の場合、Gatewayはコスト削減の期間を終え、非常に合理化された組織となっているため、統合プロセスは楽なはずだ」と語っている。
一方のGatewayも助けを必要としていた。同社は競争の激しいノートPC市場で苦戦を続けてきた。当初、同社は小売販売で成功していたが、ミッドレンジ価格帯のノートPC市場において、HPや東芝が主導する値引き合戦に対抗できずにいた。デスクトップの販売状況も芳しくなかった。
NPD Groupの業界分析担当バイスプレジデントStephen Baker氏は、「Gatewayは、小売店では中間価格帯のブランドとして、その地位を確立していた。eMachinesはエントリーレベルの価格帯と認知されていたが、2006年になると消費者がエントリーレベルのデスクトップに代わり、エントリーレベルのノートPCを購入するようになり、業績は低迷した」と語っている。
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