なぜ誰もが前途多難なデジタル音楽サブスクリプション分野に目を向けるのか理解するのは難しい。
Best Buyは先週、手直しが行われたものの窮地に立たされている音楽サービス「Napster」を買収した。この契約は、現在、Best Buyのデジタル音楽ストアのエンジンとして使われ、音楽サブスクリプションサービスの先駆者的存在の1つであるRealNetworksの「Rhapsody」にとって悪い知らせになりそうだ。
また、2008年に入って「Yahoo Music Unlimited」サブスクリプションサービスが終了したことも忘れてはならない。
聴き放題の音楽サービスはどれもうまくいっていない。それなのに、Appleが音楽サブスクリプションへの参入に関心を持っているといううわさが絶えないのはなぜだろうか。Financial Timesは2008年3月、Appleが「iPod」や「iPhone」の追加費用を支払う見返りに、「iTunes」ユーザーがライブラリ全体にアクセスできるようになるサービスを立ち上げる可能性について、大手レコード会社と話をしたと報じた。
8月には、匿名の予想屋が複数のMacに関する噂サイトに対し、Appleが10月に開始される「iTunes Unlimited」の料金を130ドルにしようとしているという電子メールを送信した。筆者が知っている音楽業界関係者は、Appleが音楽業界とサブスクリプションサービスについて協議していることを認めたが、Appleはまだどのライセンス契約も締結していないと述べた。
それでも、Appleがサブスクリプションを検討する理由は謎だ。そして、この疑問はAppleだけではない。米CNET Newsは米国時間9月18日、携帯電話メーカーのSony Ericssonが、今週初めにも音楽サービスを開始し、このサービスにサブスクリプションが含まれる可能性が高いことを報じた(編集部注:本校執筆後の米国時間9月23日、Sony Ericssonは無制限の楽曲ダウンロードを目玉とする新しい音楽サービス「PlayNow Plus」を立ち上げると発表した)。この動きは明らかに、Nokiaの「Comes with Music」イニシアティブに対抗するためのものだ。Nokiaは、所有者が12カ月間、4大レコード会社のうちの3社の音楽(EMIはまだ利用できない)にアクセスできる携帯電話の販売を発表している。携帯電話機の所有者は、期間終了後も音楽を所有し続けることができるが、サービスを継続するには料金を支払う必要がある。
NokiaのサービスとNapsterやYahooなど、従来のすべてのサブスクリプションサービスとの共通点は、音楽業界に継続的な利益を生み出すために作られているということだ。Nokiaと従来のサブスクリプションサービスの違いは、サブスクリプション料金が顧客の携帯電話料金に含まれる点だ。音楽業界は、これにより、消費者が支払いの負担が少ないと思ってくれることを願っている。
これは、レコード会社が試している数々のデジタルビジネスモデルの1つにすぎない。携帯電話会社が今すぐ行わなければならないことは、ほかのサービスをつまずかせた障害を克服できることを証明することだ。最大とまではいかなくとも、大きな課題の1つは、消費者が明らかに、料金の支払いをやめると、それまで所有していた音楽がなくなってしまうというアイデアを好ましく思っていないということだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス