アップルの音楽サブスクリプションサービス参入の可能性--業界の現状を検証 - (page 2)

文:Greg Sandoval(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル、編集部
2008年09月25日 07時15分

 Gartnerのデジタル音楽アナリストであるMike McGuire氏は、「消費者(の乗り換え)の規模がどの程度になるかはわからない。人々がサブスクリプション(定期購読)で思い浮かべるのは、雑誌や新聞だ。雑誌のThe New Yorkerの定期購読を終了しても、(出版社は)わたしの家に来て古い版を持ち帰るようなことはしない。たとえ、わたしの妻がそう望んだとしてもだ」と述べた。

 業界は低迷しているが、おそらく、Appleは誰もが見ていない何かを見据えているのかもしれない。Appleには、他社が失敗した分野で収入を得た実績がある。デジタル音楽プレーヤーは、iPodが登場するまで、ニッチな市場しか見出せなかった。

 Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏は、9月初めに報道陣を集めたイベント「Let’s Rock」で、iTunesのデータベースには6500万枚のクレジットカードが登録されていると述べた。Appleはすでに、これらの人々にiTunesから音楽を購入させている。iTunesのライブラリを利用するための月額料金を彼らに支払わせるために、あとどのくらいの宣伝が必要になるのだろうか。

 長年の音楽業界に携わってきた弁護士のChris Castle氏は、サブスクリプションベースの携帯電話には市場が存在すると述べている。

 「高級なホームオーディオシステムを持ち、曲をそのままクリーンにコピーして持ち歩きたいと思っている人たちがいる。彼らは大量のコンテンツをリッピングしたくない。また、1曲ごとに1ドルを支払いたくもないが、曲に対して何らかの支払いを行う意思はある。たくさんの曲を提供してくれれば、あらかじめロードされているハードドライブはビジネスになると思う。問題は、レコード会社がそれに対して何を求めるか、そして、取り引きが成立するのだろうかということだ」(Castle氏)

 Castle氏は、アーティスト別あるいはジャンル別に曲があらかじめロードされたデバイスに可能性を見いだしている。

多大なリスク

 Castle氏は、まだまだたくさんのリスクがあることを認めている。ここに挙げたのはほんの一例だ。ダウンロードの販売であれ、サブスクリプションであれ、新しい音楽サービスは、最も売れているデジタル音楽プレーヤーであるiPodに結びついている、米国最大の音楽小売店であるiTunesと競合しなければならない。さらに、主流の消費者は今でも音楽のサブスクリプションモデルに精通していない。NapsterやRhapsodyはともに、消費者に音楽のサブスクリプションモデルの仕組みを啓蒙するために巨額を投じている。

 Amazon.comなど、一部のダウンロードストアは、iPodで再生可能なMP3フォーマットでの曲の販売を開始しているが、サブスクリプションサービスでは今でも音楽がデジタル著作権管理(DRM)ソフトウェアで保護されているため、これらの曲はiPodでは再生できない。

 もう1つの大きな問題は、これまで登場したサブスクリプションサービスのほとんどが、iPodのライバルである多くのデジタル音楽プレーヤーとの互換性を維持しなければならなかったということだ。つまり、プレーヤーのメーカーがファームウェアをアップグレードするたびに、YahooやNapsterは自社のサービスがプレーヤーで正常に機能するようにしなければならなかった。

 Rhapsodyを始めとする多くのサブスクリプションサービスは「Windows Media」に対応せざるを得なかったが、ソフトウェアのアップグレードや修正に際して口を出すことはほとんどなかったと、Rhapsodyに近い情報筋は述べた。

 また、消費者の乗り換えについていえば、携帯電話の音楽サービスの方が顧客を獲得しやすいと証明するものはあまりない。調査会社のStrategy Analyticsは9月18日、最近の調査結果で、回答者の83%が携帯電話で音楽を聴いているものの、モバイルストアから曲を入手したのは6%にすぎなかったことが判明したと述べた。

 Appleが音楽サブスクリプションに参入し、専門家が誤っていると証明する日がいつか来るかどうかは誰にもわからないが、現時点では、他社に任せておく方が賢明だと思われる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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