全米広告主協会(ANA)は米国時間9月7日、米司法省反トラスト局副局長Thomas Barnett氏宛てに、物議をかもしているYahooとGoogleの検索広告に関する提携に反対する旨の書簡を送ったと発表した。
ANAには400社以上の企業が加盟しており、加盟企業によるマーケティング費と広告費の支出額は1000億ドルを上回る。ANAは書簡の送付に先立ち、加盟企業を対象に広範な分析を独自に行い、YahooとGoogleの担当者と面談する場も持ったという。
発表の中で、ANAは次のように述べている。
ANA理事会の承認を受けたこの書簡では、GoogleとYahooの提携によって検索広告枠の90%が両社の支配下に置かれることを説明し、これに対するANAの懸念を表明している。その懸念とは、両社の提携により、競争が鈍化して市場支配力の集中が進み、現時点で利用できる選択肢の幅が狭まる可能性が高く、高品質で(現状では)値ごろな検索広告に対して広告主が支払う価格が将来引き上げられる可能性がある、というものだ。
ANAの理事会には、Kellog、The Procter & Gamble、Johnson & Johnson、The Walt DisneyなどのFortune 500企業が名を連ねている。この書簡は、米連邦および各州の反トラスト規制当局による調査手続きが重要な局面を迎えつつある時期に送付された。
CNET Newsが以前にも報じたように、米司法省はこの提携案を承認するかどうかについて、数週間後に結論を出すことになっている。また、州レベルでは、複数の州による合同調査委員会が2008年秋に結論を出す予定だ。
Yahooから見れば、2008年6月に発表されたGoogleとの非独占契約は、初年度で売り上げを8億ドル増やす手段であり、2億5000万〜4億5000万ドルの営業キャッシュフローの増加につながる。
この非独占契約に基づき、Googleは検索広告の一部をYahooの検索ページに提供する。Yahooは以前、同社の検索ページの中には関連する広告が掲載されないページが一部あり、そうした空白の広告枠をGoogleが埋められるかもしれないと述べていた。だがそれ以外にも、Yahooは、すでに自社で獲得した広告を掲載する検索ページについても、Googleの広告を利用できるだろう。
2008年6月にこの契約を発表したとき、YahooとGoogleは、反トラスト規制当局に両社の提携を調査する時間を提供するため、100日間待ってから提携業務を開始すると述べていた。
司法省は、ANAの書簡を受け取ったかどうかについてはコメントしなかったが、YahooとGoogleの提携については調査が進行中だと述べた。
Yahooは声明の中で、Googleとの提携は広告主にとっても利益になるとの見通しを述べている。
われわれは、検索マーケティングに関するYahooとGoogleの非独占的契約に対するANAの姿勢を残念に思う。この契約によって、オンライン広告におけるYahooの競争力が高まり、より強力でより高品質の広告マーケットプレイスを広告主に提供するのに役立つという、当社の確信に変わりはない。この提携において、広告の価格は、YahooとGoogleの協議で決定されるのではなく、広告主の需要に基づいた入札によって決定される。
他の広告主たちはこれまで、この提携案の支持を表明してきた。たとえば、AsktheBuilder.comを開設したTim Carter氏は、この提携を支持すると米議会で証言した。この証言は、米上院司法委員会が2008年7月に開催した「GoogleとYahooの提携、およびインターネット広告の将来」と題する公聴会で行われた。
さまざまな規制当局がYahooとGoogleの提携について調査を進めているが、結局のところ、この件を法廷に持ち込んで提携を阻止する力を持っているのは、連邦および各州の反トラスト規制当局だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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