Bill Gates氏は約1カ月後にMicrosoftの日常的な業務から離れて、その称賛すべき知性とエネルギーを非営利の仕事であるBill & Melinda Gates Foundationに集中させる予定である。ただしMicrosoftの会長の地位にはとどまる。
1975年の創設以来、Gates氏はMicrosoftの表看板、精神的なリーダー、そして最高実力者であり、Microsoftは、テクノロジの問題に関する日常的ないざこざや議論のいくつかにおいて、そしてGoogle、Apple、Oracle、米司法省、欧州連合(EU)との戦いをいかに遂行するかにおいて、Gates氏の損失を嘆くことになるだろう。しかし、Gates氏は2000年1月に最高経営責任者(CEO)の地位をSteve Ballmer氏に譲り、2006年6月にチーフソフトウェアアーキテクトの肩書きをRay Ozzie氏に明け渡している。
Mary Jo Foley氏は新著「Microsoft 2.0: How Microsoft Plans to Stay Relevant in the Post-Gates Era」において、「Gates氏のいなくなったMicrosoftは少なくとも短期的には方向性を見失うことになるだろう。既存のマネージャーたちは古い考え方や方法論にどっぷりつかっており、Microsoftという船の進む方向を変えることができない」と書いている。
筆者はFoley氏に、Gates氏はソフトウェアやビジネスに関する自分の考え方をMicrosoftのDNAに注入することができたと思うかと尋ねた。「MicrosoftにGates氏のような考え方をする人間がいるとは思えない。テクノロジにおいて次に何が来るかを見通し、それを誰もが理解できるような方法で言葉にできるという点においてJeff Raikes氏が最もGates氏に近かったが、Raikes氏は2008年秋に引退する」とFoley氏は述べた。
Foley氏はさらに、先頭に立って批判するGates氏がいなくなり、指導的な地位にあまりに多くのMBAがいるため、Microsoftは今後10年成功できないだろうと次のように述べた。
「Microsoftが10年または20年前と依然として同じ企業であり、同社のかじ取り役として非情であると同時に用心深いGates氏がいるなら、Microsoftは今後10年以上の移行期にも成功すると何らためらいなく予測できる。しかし、MBAの人数を肥大させる一方の企業(言うまでもなく従業員も増えており、Yahooの人数を加算すると10万人に近づく)について、よりテクノロジ主導の、動きの速い、ウェブ中心の世界で継続して成功を収められると保証できるだろうか。一言で言えばノーだ」
Foley氏が描写するところの「非情」かつ「用心深い」Gates氏(筆者なら白髪が増えたGates氏を「激情的」かつ「執拗な」と表現するだろう)は、会社にマイナスの影響を与えないように引き継ぐ方法について準備が整っていると筆者は思う。Ballmer氏はすでにGates氏の考え方を知っており、Gates氏にも意見を言える立場にいる。Gates氏とBallmer氏は30年以上ともに仕事をしてきた。当初インターネットの重要性についての判断を誤ったのはBallmer氏だけではなかった。
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