依然として高い成長率を維持し続けているインターネット広告市場。電通『日本の広告費』によると、ここ10年間、日本の総広告費はほぼ横ばい(約6兆円で推移)の状態だが、その一方でインターネット広告費は、2005年に2808億円(前年比154.8%)、2006年には3630億円(同129.3%)へと伸長。さらに、電通総研の試算によれば、2007年には4534億円(同124.9%)、2011年には7558億円に達する見通しだ。成長率は次第に緩やかになってなってきているとはいえ、広告媒体として4マス(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)と肩を並べたといえるだろう。
そうした成長著しい市場にあって、インターネット広告のメディアレップとしては国内最大手の座を占めているのが、1996年に電通とソフトバンクの合弁により設立された、サイバー・コミュニケーションズ(cci)だ。
同社は、Yahoo!JAPANなどのインターネットメディアと、広告会社(代理店)・広告主とを結びつける、いわゆるメディアレップ事業を中核とし、2000年にナスダック・ジャパン(現・ヘラクレス)上場、2003年にはマザーズ上場を果たしている。メディアにとっては広告枠の販売窓口となり、広告会社・広告主にとっては広告の買い付け先となると同時に、メディアプランニングや、それに付随するソリューションの提供なども手がける、いわばネット広告を専門に扱う商社のような存在だ。
さらに同社は、今後発展していくための方策として、技術開発を担う子会社、クライテリア・コミュニケーションズが運営する広告配信ネットワーク「ADJUST」などを使って、単体では販売の難しい広告枠をパッケージ化して販売するなど、アドテクノロジーの提供にも力を注いでいる。経営企画部の栗山愛氏によれば、今のところ、売り上げとしてはメディアレップ事業に及ばないが、将来的には経営のもう一方の軸になるものと期待しているという。
現在、同社の社員数は派遣社員、契約社員を含めて約350名。その約3分の1にあたる120名が営業職である。基本的にエンジニアの採用はクライテリア・コミュニケーションズで行っているが、メディア本部やマーケティング・ソリューション本部、クロスメディア事業本部などの各部署で、多様な職種を募集している。
人財開発部の松尾明氏によると、新卒の採用を始めたのは4年前。現状、新卒採用者数は年間採用計画の2割程度にとどまるが、増加傾向にあるという。
「中途採用と新卒採用のバランスが今後の課題です。というのも、この業界は技術革新が速く、かつ業務領域も広く、短期的な成果も求められるために、即戦力となる中途採用者に頼りがちでした。、すると年齢構成はどうしてもいびつになってしまいます。社の将来を見据えれば、新卒を将来の中核を担う人材になるよう、スペシャリスト、あるいはゼネラリストとして、長い目で育てることが必要になると思います」
社全体としても、新卒者に寄せる期待は大変大きい。幼少時から常にPCやネットに触れ、手足のように使いこなせる世代だけに、松尾氏の見るところ、ユーザーの視点でインターネットサービスを考える力が最初から備わっており、基本的にネット広告業界で働く素養を持っている人材の宝庫なのだ。
「新しいものに対応するには、彼らの力が絶対必要になってきますから、新卒者の採用は、弊社の将来にとって非常に重要なミッションだと考えています」
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