オプトインメールは、いまでも「ユーザーセグメントできる」広告媒体として根強い人気があります。その定義は「メディア主催者が広告主からのメール広告の受信者をウェブ上で募集し、受信希望の趣味、嗜好、属性をデータベース化して広告主の指定のターゲットにメール広告を配信するもの」であります。
2002年にオプトは、本メディアである実験を行いました。同クライアント、同メール広告内容、同日時配信、異なるセグメント(年齢・趣味)の配信で広告効果が違うかという比較実証実験です。結果は以下のとおりでした。
この実験は次のような仮説を私に示唆してくれました。
最近、インターネット広告業界では、行動型ターゲティングやビヘイビラルマーケティングなどが脚光を浴びています。それに関し、6月6日の日経新聞に興味深い記事が載りました。「サイバー・コミュニケーション(CCI)はネット広告の自動配信サービスに、ネット閲覧者の興味の変化を解析し、適切な広告を表示する機能を加える。閲覧者が見る情報の内容が変化した場合、関心がどの分野に向いたのかを自動的に把握できるため、広告効果の向上が期待できる。新車情報を見ていた閲覧者が車のアクセサリーの情報を見たり、運転の感想を書き込んだりした場合は、車を購入したと判断して広告を替える」と。
行動型ターゲティングにもオプトインメールにも言えることですけれども「何かの対象商品やサービスに対し、既にエンドユーザーがアクションしたにもかかわらず、繰り返し(しつこく)同じ広告が流れるほど、顧客を不満足にさせることはありません」。従って、ユーザーの趣味・嗜好の変化を分析し、それに合わせる形で広告を掲出する取り組みは、エンドユーザーの広告離れを防ぐ意味においても非常に重要なことなのです。
加え、ユーザーは多様な趣味や嗜好を持ち、それらが時間軸で変化していくことを想定するのであれば、それぞれの趣味や嗜好に対しての「意識・思いの強さ」がどれくらいあるか?の「強度」を分析する必要もあるでしょう。エンドユーザーは緊急度の高い商品やサービスを最初に申し込みたいと思うからです。
今後インターネット広告に携わる人達は、「一層、エンドユーザーを知らなければなりません」。広告主に広告効果があると自信を持ってすすめる以上、また、広告効果が数値的に測定できるネット広告である以上、エンドユーザーの心理状態を知ることは必須なのです。
大手広告代理店退職後、財団法人社会経済生産性本部において経営コンサルタントの認定を受け、その後1999年9月株式会社オプト入社。2001年1月より同社代表取締役COO。2006年1月より同社代表取締役CEO。慶應義塾大学経済学部卒、産能大学大学院経営情報学研究科(MBA課程)卒、中小企業診断士。デジタルハリウッド大学院教授(「インターネットマーケティング」担当)。「サイバーコミュニティを使った『ニーズ調査』の有効性に関する比較研究」(経営情報学会2000年、共同研究)、「インターネット広告による売上革新」(同文舘出版2006年、共著)等学会・講演活動多数。
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