新卒・中途を問わず、cciの求める人物像はシンプルで、それでいて高いハードルが設けられている。
「弊社が求めるのは、自分で新しいメディアやサービスを作りたい、常に最先端に触れていたい、インターネット広告のど真ん中で仕事がしたいという、チャレンジャースピリッツとクリエイティビティ(創造性)の二つを持ち合わせた人材です。弊社は創立から11年、まだまだ未成熟な部分もありますが、困難や壁をアイディアで打破してくれる人材が欲しいです。もちろん、社員全員がチャレンジャーではまずいですけどね(笑)」(松尾氏)
面接担当者は、志望動機やそれまでの経験から、共感できるキーワードを見出して深堀りする。困難をどう克服したか。何に自信を持っているか。どんな課題を持っているか。それらを聞くことで、能力のみならず感覚的にも、同社とマッチする人材か否かを見極めていく。志望とは違う職種に適性を感じれば、面接担当者のほうからその旨を提案することもあるそうだ。
「一番心がけているのは、その人の将来的なビジョンと、弊社のビジョンとがマッチするかどうか、ということです。優秀で、なおかつやりたいことがしっかりある人材でも、その人の求める姿と、弊社の追っている姿がかなりの部分で重なっていなければ、せっかくの才能を活かせません。その場合には、非常に残念ですが、採用を見送っています」(人財開発部・山本香里氏)
能力面のみに限定しても、求める人材になかなかリーチできないのは、昨今のIT企業全般に共通する悩みだ。cciの採用のハードルは、それよりさらに一段高いにもかかわらず、異業種で活躍した人材の入社するケースが増えるなど、はた目にはきわめて順調に映る。
「そう見えるかもしれませんが、実際のところ、すごく苦労しています(笑)。ただ、採用担当者としては、その苦労こそが醍醐味というか、難易度が高いからこそ、採った人(採用された方、入社された方)に対する思い入れも強くなります。また応募者のニーズに耳を傾けることで、望まれる人事制度も見えてきますね。」(松尾氏)
同社はメディアレップのリーディングカンパニーであり、当然、業界では名の通った存在だが、メディアと広告会社の中間に位置するため、一般的な認知度は上がりにくい宿命にある。そうした立ち位置で、大手他社と人材を争奪するには、地道な広報活動が不可欠だ。メディアで会社情報をしっかり発信し、一般的な企業理解が深まれば、可能性がある業界だけに人材は自ずと集まってくる。採用のうまくいっている企業は、例外なくそのことに気付いて、何かしらの手を打っている、と松尾氏は分析する。
2007年は、ネット広告の手法に、大きな変化が見られた年でもあった。山本氏はこう解説する。
「Yahoo!JAPANに掲載されたソフトバンクモバイルの広告のように、テレビCMと遜色ない、表現力豊かな広告が増加しました。特に2007年後半以降は、ネットを『続きはウェブで』のようなおまけ扱いではなく、最初からプロモーションに含めて、トータルでターゲットに対し訴求するのが一般的になってきましたね」
そうした変化に呼応し、同社も、アドテクノロジーのいっそうの拡充をはかる方針だが、求める人物像そのものには、大きな変化はないという。自身のスキルをどう発揮し、社の成長やネット広告市場の活性化にどう貢献するか。それが、少なくとも当面は、cciの人材採用における不変の軸なのだ。
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