今後の熱設計について、中村氏は「楽にはならない」と指摘している。熱源素子の消費電力は、CPUにおいては緩やかな上昇となることが見込まれるが、GPUや通信関係では上昇が見込まれる。これは、近年になって動画配信サイトなどを長時間利用するユーザーが増えているなど、従来とはノートPCの使われ方が変わってきていることも影響している。
熱設計のソリューション開発としては、冷却装置の風量増加、開発初期段階のシステム設計がが課題とされており、ThinkPadの設計フィロソフィーとしては、性能を犠牲にせず、快適性と小型・軽量設計を追及するとしている。また、今後展開としては冷却デバイスの基礎技術の開発強化と、シミュレーションツールの強化が挙げられている。
現在、レノボ・ジャパンでは冷却装置の効果を見極めるにあたって、シミュレーションが活躍している。実機測定の場合にはノートPCを分解しなくては撮影できないサーモグラフィー映像や、膝上での使用時の再現など実機撮影は不可能なシチュエーションでの冷却性能を確認するのに有効だからだ。今後はさらにシミュレーションツールの必要性が高まると考えられている。
「シミュレーションですべて設計できるようなテクノロジーを開発したい。ノートPCはユーザーの生活道具の一部となっている。利用シーンが増えた分、ユーザビリティや快適性を提供する必要がある。使った人が快適になるという熱設計を考えて行きたい」と中村氏は今後の展望を語った。
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