キーボードのレイアウトやデザインにも、もちろんこだわりは多い。たとえば、ThinkPadのキーボード面はブラックの地にピュアホワイトの文字印刷がされているが、たとえこれは暗い場所でも「Thinkライト」で文字が見えるよう、コントラストの高い状態にしているのだという。
このコントラストは大変重要だ、と同氏は語る。「たとえば、家電のリモコンのようにねずみ色やシルバーの地に白で印刷すると、高級感は出るものの、視認性は低くなる。ThinkPadは“プロの使う道具”だから基本にこだわっている」と説明する。
さらなるキーの配置や構造のこだわりが、矢印キーだ。右下の矢印キーはキー1/2分ほど手前に少し出っ張っている。このでっぱりは設計上、ほかの部品の配置に影響するため負担をかけるが、「入力ミスにつながる“SHIFT”キーと“ろ”キーの間に上矢印を配置するような設計は、弊社は絶対にしない。これを上司にやれと言われたら拒絶し、どうしてもと言われたら辞める覚悟」と力強く語った。
また、キーボードの上にコーヒーをこぼしても排出されることで知られる「バスタブ構造」も、本体裏やスペースキー左手前に排出口を設けて実現した。これはキーボードの「メンブレンシート」をシーリングして防水しているからできることで、「この防水がないと1ccぐらいでダメになる」という。「正直に言うと、ThinkPadでもごく初期のモデルではシールドを行っていなかったため、ホチキスやシャープペンの先がキーボードの間に飛んだだけでショートしてダメになったことがあった」と明かした。そのため、1998年以降、ThinkPadのキーボードはすべて防水仕様となっている。
実際問題、海外出張の際など、ノートPCの故障が成功を左右することもある。「車にエアーバッグやシートベルトが付いているからといって事故を起こさないでほしいのと同じで、もちろんわざと水はかけないでほしい。でも、万が一キーボードにコーヒーがかかってしまっても、焦る必要はない。キーボードのバスタブ構造で水分は排出できるため、出張後にあらためてキーボードだけを修理すれば大丈夫」と自信を見せた。
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