しかし、CiscoとMicrosoftはそれぞれ他の市場に手を広げ始めたため、お互いの領域をいつの間にか侵していた。その結果、顧客の混乱をまねくこととなった。顧客は、自社のネットワークベンダーであるCiscoと自社のソフトウェアサプライヤーであるMicrosoftの、どちらかのソリューションを選ばざるを得ないように迫られていると感じるようになった。顧客は、両社の営業部門からソリューションの売り込みを受けるため、両社の製品がある部分では互いに認め合い、ある部分では競合することに困惑していた。
「顧客は、われわれ2社がどういうときに協調し、どういうときに競合するのかをきちんと知りたいのだ。そして、どちらかの製品を選ばざるを得なくなるような、なんの得にもならない苦境に陥りたくないのだ」とChambers氏は述べた。
ここ7カ月間、両社は協調への取り組みを強めていった。そして両社は20日、セキュリティ、モバイルコンピューティング、ITアーキテクチャ、ユニファイドコミュニケーションなど7つの分野で協力し合うことを正式に発表した。
これらの分野で、両社は製品の相互運用性を確保するため、技術的な取り組みを行うことになる。また、両社の販売部門とマーケティング部門が協力し合い、CiscoとMicrosoftのソリューションが連携できる事実とその方法を顧客に啓蒙していく。両CEO自身も、これまでより密接に協力し合って、こうしたビジョンを顧客にわかりやすく説明していく予定だ。
「私が個人として日常的に取り組み始めるのは、時間を作ることだ。われわれには、Hewlett-Packard(HP)、Intel、Dellなど定期的に顔を合わせるパートナーがいる。John(Chambers)氏とは常に良好な関係を築いているが、これまで定期的に会おうとはしていなかった。これからは、定期的に会っていくつもりだ」とBallmer氏は述べた。
両社はすでに、セキュリティ市場でこの新戦略を実行して、それなりの成果を上げている。およそ3年前、CiscoとMicrosoftは、ウイルスやワームの感染からシステムを守る両社独自のセキュリティアーキテクチャを導入した。Ciscoは、「Network Admission Control」(NAC)という名のネットワークベースのソリューションを提案し、Microsoftは「Network Access Protection」(NAP)という名のクライアントベースのソリューションを展開し始めた。
顧客はこの新しいアーキテクチャに関心を持ったが、2社のソリューションに相互運用性がないことに不満を示したと、MicrosoftのシニアバイスプレジデントBob Muglia氏は言う。MicrosoftとCiscoはこの問題を解決するために協力するようになり、その過程でお互いの製品にすぐれた点があることに気づいた。
両社はこの両ソリューションを共同販売しているわけではない。しかし、両社の営業部門が、ある種の実装については他方のソリューションを勧める部分もあることを、両社の幹部は認めている。
「当初は、あらゆる問題を自社だけで解決できると考えていた」とCiscoの最高開発責任者(CDO)Charles Giancarlo氏は言う。「Microsoftも同じことを言っていた。しかし、われわれはすぐに、お互いのソリューションが賞賛に値することに気づいたのだ」とGiancarlo氏は語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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