MSとシスコ、「コーペティション」関係をさらに強化へ

文:Marguerite Reardon(CNET News.com) 翻訳校正:藤原聡美、佐藤卓、小林理子2007年08月21日 21時47分

 ニューヨーク発--3年前、Cisco SystemsとMicrosoftがセキュリティソリューション分野での提携を発表したとき、いずれ両社の衝突は避けられそうにないと思われていた。だが米国時間8月20日、両社の最高経営責任者(CEO)は同じステージに立ち、より緊密に協力していく方針について語り合った。

 MicrosoftのSteve Ballmer氏とCiscoのJohn Chambers氏の両CEOは、今後もいくつかの市場では一歩もゆずらぬ競争を続けるが、製品の相互運用性を確保するために協力も行うと述べた。

 Ballmer氏とChambers氏は、ニューヨークで20日に開催された報道メディア向けの討論会に出席し、司会を務めるテレビジャーナリストのCharlie Rose氏やビジネス系ジャーナリストたちの質問に答えた。2人のCEOは、協力関係の強化を決めたのは、両社の製品や技術を混在させて利用できるようにしてほしいという、顧客からの要望に応じるためだと語った。またBallmer氏は、自分としてはCiscoと競争しないでおきたいが、それが市場の現実なので致し方ないとも述べた。

 Ballmer氏は次のように語った。「世の中には、何事も白黒をつけたがる人がいる。企業が2社あれば、パートナーか競合相手か、はっきりさせろというわけだ。しかし、企業同士の関係はもっと複雑だ。そして、われわれの関係は顧客が望むものでもある。だからわれわれ2社は、洗練されたやり方で協力し、顧客が望むものを提供していく必要がある」

 実際、競争しながら協力する「コーペティション(co-opetition)」という概念は、数年前からあった。エンタープライズ向けソフトウェア市場では、OracleとSAPのような企業が提携関係を築きつつ、互いに競い合ってもいる。そのおかげで目覚ましい成長が続いてきたが、パートナーとライバルのバランスを保つことは必ずしも簡単ではない。そして、提携関係が行き詰まり、訴訟に発展した例もたくさんある。

 だがChambers氏は、顧客の要望に焦点を合わせたCiscoとMicrosoftの関係は、確実に成功するために最良の方法だと語る。また、Chambers氏自身の考えによると、今回の関係は、これまでの大企業同士の提携と同じとは限らないという。Chambers氏は、CiscoとMicrosoftが、両社のうちのどちらか一方から相互運用性のある競合製品を選べるようにして、顧客が本当に望むものを提供すれば、市場全体がその恩恵を受けると考えている。

 「顧客にとって正しいことを実行すれば、業界全体が成長するだろう。それぞれの市場シェアは若干小さくなるかもしれないが、業界全体で見ればパイは大きくなる。そうなれば、誰もがもっと大きな売り上げを得られるようになる」とChambers氏は語った。

 長年にわたって、CiscoとMicrosoftはそれぞれの分野で支配を強めてきた。Ciscoは、IPネットワーク市場で王者としての地位を享受している。企業のネットワークとインターネットをつなぐ配管の役割を果たす機器であるIPルーターとIPスイッチの分野で、同社は80%を超える市場シェアを獲得している。一方、Microsoftは、「Office」製品スイートで、デスクトップソフトウェアとOSの市場を長い間独占している。

 満たしているITニーズこそ異なるものの、両社は事実上同じ顧客基盤を共有している。そのため、両社は10年近く緩やかなパートナーシップを築いてきた。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]