4月に発表されたSun Microsystemsとの和解をはじめ、最近多くの企業に対し協調的な態度を示すようになったMicrosoft。こういった同社の方向転換に大きく貢献したと思われる人物が来日した。昨年6月同社に入社した知的財産権担当コーポレートバイスプレジデント兼副ゼネラルカウンセルのマーシャル・フェルプス氏だ。同氏は、Microsoftがこれまでに関わってきた数々の訴訟は、同社が「まだ若くて知的財産(IP)管理がしっかりしていなかったためでもある」と述べ、今後のMicrosoftのIP戦略について語った。
Microsoft知的財産権担当コーポレートバイスプレジデント、マーシャル・フェルプス氏 |
Microsoftは昨年12月、IPポリシーを発表している。これは、同社の技術やIPの利用に関して、よりプログラム化された理解しやすい手法を顧客やパートナー、業界に提供するというもので、同社の技術・IPへのアクセスの拡大や、商業的に妥当な条件下での利用の増進をめざすもの。「IPへのアクセスの拡大や相互利用の促進は、IT業界全体の成長と発展に欠かすことができない。すべての発明を1社のみで行うことは不可能だ。発明を共有することで、その発明を有効利用することができ、皆がその恩恵を受けることができる」とフェルプス氏は語る。
Microsoftは、2003年度に43億7900万ドルもの金額を研究開発に投資しており、米国だけで3500の特許を保有しているが、「基本的な特許へのアクセスを提供することで、現行技術をより強化し、新たなソリューションの実現をめざす」(フェルプス氏)としている。現在Cisco Systems、IBM、Hewlett-Packard、SGI、Xerox、SAP、Siemens、富士通といった企業とクロスライセンス契約を締結している同社は、「今後もさらにグローバルな取り組みとしてクロスライセンス契約を重視していく」(フェルプス氏)という。
これまでにMicrosoftは、フォント表示テクノロジーであるClearTypeやファイルシステムのFAT、XMLスキーマなどに関するライセンスプログラムを発表しているが、今後どういった技術をライセンスするかについてフェルプス氏は、「幅広い分野でライセンスしたい」と述べるにとどまり、近々ライセンスに関するプログラムをいくつか発表する予定だとしている。
今回フェルプス氏が来日したのは、日本企業との協力関係を強化するため。Microsoftでは、日本の技術開発について「世界でも重要な地位を占めている」(フェルプス氏)と見ており、日本企業と研究開発の成果を共有したい考えのようだ。フェルプス氏は、特にPC以外のデジタル家電やデジタルガジェットに関する技術への興味を示し、「皆が考えているような日本の主要IT企業とも協力関係を結ぶべく交渉中だ」と述べた。
会見には、Microsoft Asiaエグゼクティブオフィサー法務・政策統括本部長の平野高志氏も同席し、日本国内での活動についても説明した。同氏は、マイクロソフトがグローバル企業の日本支社として、さらには日本国内での主要IT企業のひとつとして、日本独自の研究開発を強化することや、大学との連携強化、標準化団体に対する貢献、IP政策についての日本企業との意見交換などを行っていると述べた。さらに同氏は、「マイクロソフトはIPが日本企業の競争力にどうつながるかといった研究を支援する」と述べ、来月にはこれに関する詳細が発表される予定だとした。
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