就任から2年--マイクロソフトのターナーCOOに聞くソフトウェアプラスサービス戦略 - (page 2)

文:Ina Fried(CNET News.com)  翻訳校正:吉井美有2007年07月25日 08時00分
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――製品ロードマップの話ですが、Windowsに関してはMicrosoftからの方向付けが若干あいまいになっているように思えます。Vistaのサービスパック1をいつ公開するのかも明らかにしていません。こうした状況で、Vistaの販売チームは少なくとも対外的には一歩後退したように思えます。

 そんなことはありません。ゲートを出るのが普段のわれわれよりも少し遅れたとは思いますが、今までと同じチャレンジです。この遅れはアプリケーション互換性の観点からのことで、問題は解決済みです。莫大な時間を1万種類ものデバイスと1900種類のアプリケーションの検証に費やし、それぞれについて適切な対応をするためにまた莫大な時間をかけたのです。

 Vista開発で採用されているセキュリティ技術について、この進展を非常にうれしく思っています。この取り組みは旅なのです。それ自体が目的地なのではありません。われわれはこの旅に取り組んでいるし、十分な進展を遂げることができました。(Vistaの)SP1は今後出てきますし、その先にはVistaの次のWindowsオペレーティングシステムが出ます。これについては今後数カ月でお伝えできることがあると思いますよ。

――「サービスパックは出ます、次のバージョンも出ます」以上の情報を顧客が欲しているとは思われますか。

 わたしがお話させていただいた方々の中にはそういう人はいません。顧客のほとんどは、企業システムにVistaを導入する必要性がどんなところにあるのかを知りたいと考えています。Citigroupがまさに好例です。HPも同様で、どこでもすべてVistaという環境に移行しました。(彼らの知りたいことは)何ができるのか、どれだけ素早く展開できるのか、どうすればアプリケーションが使える確証を得られるのかということです。ですから、顧客はどちらかというと現在の問題をよく知りたいと考えています。今から3年後、5年後のリプレースのことを考える人は、現在の問題を考える人よりも少ないのです。顧客は、今どのように展開するかを知りたいのです。

――新興市場と海賊版対策は、Microsoftにとってかなり大きな機会です。ここで成功するためには、これまでのソフトウェア販売のやり方と比べて、新興市場ではMicrosoftは何を認識する必要があるのでしょうか。

 新たに開始したMicrosoft Unlimited Potential(訳注:Microsoftがワールドワイドで展開している社会貢献プログラム。日本市場では「UPプログラム」という名称で、IT活用機会がこれまであまりなかった人々のためにIT研修や自立支援などのプログラムを提供している)で、生徒や先生、教育機関向けの活動をしています。エコシステムをつくってその社会の一員となり、人々を助けるという試みを始めたところです。先進国の社会ではできることも、これらの社会の人々にとっては必ずしも手の届くとは限りません。創業者Bill Gatesに端を発する、われわれの信念の根幹部分にあることのひとつに、いかにしてそこに出て行き、助け、これらの市場でソフトウェアを普及させるかということがあります。新興市場での事業展開は、われわれにとって新たなビジネスモデルなのです。

 (ゴールは)お金を使うことではないのですが、巨額のお金を得ることでもありません。人々の生活を改善する手助けをできるエコシステムを作ることなのです。しかし翻ってみるに、それを行っていくことは、健全で持続可能な経済を作り上げ、PCとテクノロジにとっても適正なエコシステムを確立するのは、長期的なアプローチで取り組みことです。ですから、われわれのアプローチを変えて今よりも思慮深くなるということですね。

 ご存じのように、毎日10億人もの人がMicrosoftのソフトウェアを使っています。これを思うと謙虚な気持ちになります。毎日ですよ。このことを考えると本当に身が引き締まります。信じられないのは、それに対して代価を支払っているのは5億人に過ぎないということです。

――海賊版を作るのがこれまでよりも割に合わないことになるような技術的手段をかなり強化されてきました。こうした対策で最終結果に差は出始めていますか。

 VistaのWGA(Windows Genuine Advantage)は、ある種の海賊版作製の動きを縮小しようという試みで、この分野の取り組みとしてわれわれの最初の強硬な対策となるものです。結果について話すのはまだ早いのですが、それでも影響が出始めているでしょう。これを経て来年には、(海賊版対策で)新たなソフトウェア実装や経験からの学習をお見せできると思います。

 この過程から学ぶことは多々あります。また、この問題に関して思慮深くもありたいと思っています。顧客満足を犠牲にしたくはありませんし、Windowsから人々を追い出したいわけでもないのです。しかし同時に、正当な代価を得る機会があることを確かめたいとも考えています。どんなふうに、どこに実装するのか、どれだけ迅速にその取り組みを行き渡らせることができるかというバランスが重要なのです。社内には、海賊版対策の進め方に関してわれわれが思慮深く行き届いた態度で臨めるように支援する取り組みが数多くあります。ですが、Vistaでの取り組みはいずれ市場で効果を現すでしょう。

――ソフトウェアの世界は変化しています。ソフトウェア配布の形態が今までとはちがうものになったら、Microsoftとパートナー企業にとってはどんな意味を持つのでしょう。パートナーとMicrosoftの現行のビジネスモデルと具体的なやり方にどんな変化がありますか。

 パートナーの方々に話すときにしょっちゅう聞くテーマは、「このソフトとサービスの資料はたっぷり読んでるんだ。確かめたいんだけどこれはもう見ることができるのかな?」というものです。これを今まで本当によく聞いたので、今回はわれわれが考えていることは、実際にもうすぐ起こることだと考えてもらえように、パートナー企業を鼓舞することを考えました。われわれが話していることは現実に起こりつつあることであり、それがどこで起こっているのか、どこへ向かっていくのかを見ていただくよい機会だと思います。Microsoftはマルチコア企業ですから、われわれのビジネスモデルはこれだけではありません。しかし、新しいエコシステムの全体がソフトウェアにサービスを加えた形で生まれており、それが既存のパートナーにとっては彼らのビジネスを拡大して新たな市場に参入するための商材になると思っています。また、現在われわれのパートナーでない企業を招き入れるための新たなパートナーエコシステムも作っています。これは非常におもしろい仕事です。

――この(ビジネスモデル)移行期に最も痛みを受けるのは、自身でホスティングサービスを展開していたパートナー企業でしょう。当初は、Microsoftはダイレクトホスティングを用意していませんでした。もしあなたがExchangeやSharePointをホスティングサービスで提供しているパートナー企業だったら、これは困難な環境を意味するでしょう。こうした声は寄せられていますか。

 聞いていません。以前からあるサービスが廃れていくかどうかという問題ではないのです。すべてがそのように移行していくのでしょうか。それとも混在していくのでしょうか。われわれは現在のところ(サービス形態が)混在していくと見ていますが、これは重要な選択になるでしょう。ソフトウェアプラスサービスという提供形態のMicrosoftのエコシステムでは、多様な収益モデルを用意しています。業務用、ホスティング、混在型といった形態について、パートナー向けに3種すべてのメニューを用意しています。ソフトウェアプラスサービスを非常に重視しているのです。

 われわれはソフトウェアプラスサービスがどうなっていくのか、自分たちが何に対して投資しようとしているのかを、1年前よりもよくわかっています。しかし、その全貌を理解し、解明できたとは全く思っていません。ですから、この収益モデルは進化し続けなければなりません。そして来年には、今年よりも賢くなっているはずです。しかし、われわれはパートナーのみなさんにもこの道筋を一緒に走っていただいて、われわれが非常に重視している取り組みを理解していただきたいと思っています。

――Microsoftが企業顧客にDynamicsで提供するものはすべてパートナーを経由して届けられるという話をされていましたね。Microsoftは今よりも顧客に直接提供するものを増やしていくのでしょうか。そこにはおそらくリセラーパートナーがいます。となると、Dynamicsのサービスに関してパートナーがリセラー以上の役割を果たす場面はどこにあるのでしょうか。

 われわれのビジネスモデルからおわかりのとおり、今とは違う点として挙げられるのは、Microsoftは圧倒的に製品中心の企業だったことです。ソリューションへの移行が進むにつれて、ソリューションには複雑な部分があるのでパートナーのビジネスチャンスも増えます。製品中心からソリューション志向への移行を進めていけるということは、顧客が、特に大企業の顧客が、Microsoftがうしろにひかえていることを知りたがっているということです。

 SharePointやSQL Serverのような製品の実装を見ていただくと、こうした取り組みに手を貸してくれるすばらしいパートナーがいるのがおわかりだと思います。しかし、Citigroupもその他の企業もそうですが、顧客の中には「Microsoftはいまどこにいるんだ。俺と同じテーブルについているのか。傍観しようとしてるんじゃないか」という方もあります。たしかに、われわれはパートナーとともにビジネスに参加しています。しかし、このエコシステムとわれわれがそこに組み込んできたイノベーションの蓄積は、他に類を見ないものだとわたしは思います。

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