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ケータイ業界に大変化、キャリアの収益モデル見直し求める--モバ研報告書

永井美智子(編集部)2007年06月27日 02時14分
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 モバイルビジネスの活性化を目指す総務省の研究会「モバイルビジネス研究会」が6月26日、報告書案を公開した。販売奨励金の見直しやSIMロックの解除など、既存の携帯電話事業者(キャリア)に対して収益モデルを抜本的に変革するよう求める内容となっている。この報告書の通りに政策が実施されれば、携帯電話業界の構造は大きく変わることになりそうだ。

 研究会はモバイルビジネスの発展と利用者の利益のためには、市場の競争と環境の整備が必要と判断。2011年までに採るべき施策をまとめている。

 既存キャリアは現在、ネットワークから携帯電話端末、サービスまでを一体化した垂直統合型のビジネスを展開している。これに対して研究会では、それぞれを切り離して利用者が自由に選べる環境が望ましいと指摘する。

 報告書の提言は大きく3つ。携帯電話端末を販売する際の奨励金の見直し、キャリアが自社の端末を利用者に使わせるためのSIMロックの解除、キャリアの通信回線を借りて携帯電話事業を展開するMVNOを増やすための環境整備だ。いずれも目標期限を決めているところに、研究会の「本気度」がうかがえる。

2008年度には新料金プランを一斉導入、ポイント制は廃止

 まず、販売奨励金の見直しを求めた。販売奨励金とは、キャリアが携帯端末を販売する代理店に一定の料金を支払うことで利用者が安く端末を購入できるようにしたもの。キャリアは利用者から毎月得る通信料金でこの奨励金をまかなっていることから、端末をあまり買い替えない利用者にとっては不利になるとの指摘が出ていた。

 研究会では、販売奨励金によって利用者が高機能端末を安く購入でき、結果として高機能端末と連携したさまざまなサービスが登場したと一定の評価を与えた。しかし、利用者が端末コストを通信料金で負担していると認識していない点を問題視し、端末価格と通信料金を明確に切り離すべきと提言する。

 具体的には、端末価格と通信料金を分けた新しい料金プランを、2008年度をめどに試験的に導入するよう求める。この際、利用者が混乱しないように行政指導をして、各キャリアが同時期に新しい料金プランを導入することを提案している。また、この効果を定期的に検証、2010年には総合的な評価をして本格導入に向けた結論を出すべきとした。

 現在、ソフトバンクモバイルなどは2年間の契約をする代わりに初期の端末購入料金を安くする割賦販売制度を導入している。一定の利用期間が定められた契約については、研究会もその意義を認めている。ただし、あまりにも長期になりすぎると、利用者を囲い込むことなり競争を阻害すると指摘した。また、端末の価格を補填するために機種に応じて通信料金を割り引く仕組みについても見直しが必要とした。

 このほか、通信料金の額に応じてポイントを付与し、このポイントを端末購入時の割引にあてる方法については、「実質的に分離プランの趣旨を没却することになるため、こうした施策を採用することは適当でない」と廃止を求めた。NTTドコモは自社のクレジットサービス「DCMX」でこのポイントがたまることをアピールポイントの1つにしており、戦略の変更を迫られることになる。

 販売奨励金は会計上、営業費用として計上されている。この費用はほかの事業者との接続料を計算する際の元となっており、結果として端末の販売費用をほかの事業者から徴収していることになると研究会は判断。公正な競争を確保するためには、会計上の取り扱いを見直す必要があるとした。

 このため、2007年度をめどに電気通信事業会計規則を改正するべきとする。実際の施行は2008年度からとなりそうだ。これが実現すれば、利用者の通信料金引き下げにつながる可能性がある。

SIMロック廃止は次世代ケータイで実現へ

 SIMカードと呼ばれる通信カードを差し込まないと携帯電話端末が使えず、キャリアを超えて同じ端末を使うことができない「SIMロック」と呼ばれる問題については、2010年に結論を持ち越した。これは、現在の状況でSIMロックを解除しても、利用者にとっての利益がほとんどないためだ。

 現在、ドコモとソフトバンクモバイルはW-CDMAという方式を、KDDIはCDMA2000方式を採用している。両者に互換性はなく、SIMカードを差し替えて使うことは技術的に難しい。また、ドコモとソフトバンクモバイルであればSIMカードを差し替えることで音声、ショートメッセージサービスを利用することはできるが、記述言語が異なるため同じ端末でメール送受信やウェブブラウジングをすることができない。

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