Googleの広報担当の発言は、スコットランドの新聞、Sunday Heraldによる現地時間5月19日付の記事を受けたものだ。同紙はGoogleが英国で複数の新聞社と記事の使用権獲得の交渉を行っていると報じたが、Googleはこの報道をきっぱりと否定した。
Googleは、この件について声明を発表し、次のように述べている。「われわれの『Google News』に対するアプローチは変わっていない。Google Newsの合法性を信じている。われわれは、何千というオンラインのニュースソースのコンテンツをインデックス化しているだけだ。Google Newsに来ても、ユーザーが見られるのは当該新聞記事の見出しと記事の一部、それに画像のサムネイルのみで、記事を読みたければ、検索結果のリンクをクリックしてオリジナルのウェブサイトに行かなければならない」
しかし、誰もがGoogle Newsの合法性を認めているわけではない。ベルギーの裁判所は2006年、同国の新聞社の代表団体がGoogleを訴えた訴訟で、同社に不利な判決を下した。Googleは見出しと新聞記事の一部を掲載することで、各新聞社の著作権を侵害しているというのが、団体側の主張だった。
Googleはただちに、同団体に加盟する新聞社の記事についてインデックス化を中止した。しかし、2007年5月に入ると、ベルギーの新聞記事へのリンクが再びGoogle Newsに表示されるようになった。Googleとベルギーの新聞社によると、食い違いの生じていた問題について、いくつかの点では和解し、その他の問題点についても解決を図ることになったという。また、4月にはパリに本拠を置く通信社Agence France-Presse(AFP)がGoogleとライセンス契約を結び、Googleに対する著作権侵害訴訟で和解した。これにより、GoogleはGoogle Newsをはじめとする同社のサービスに、ニュース記事や写真など、AFPのコンテンツを掲載できるようになった。
2006年8月には、GoogleはAssociated Press(AP)通信と同社のニュース記事および写真を使用するコンテンツ利用契約で合意に達したと発表している。ただしこの中にGoogle Newsは含まれていない。AP通信のコンテンツは、現在開発中の未発表サービスに組み込まれる見込みだ。
新聞業界の一部では、ベルギーの裁判所で下された判決、およびGoogleがAPやAFPと交わしたコンテンツ契約は、同社がコンテンツに利用料を支払う兆候だとする見方がある。だが、Googleのファンやブロガーの解釈はまったく異なる。こうした人々は、法廷で勝訴したにもかかわらず、ベルギーの新聞社団体がコンテンツ利用でその後Googleと和解に達したということは、新聞社がGoogleからのトラフィックの必要性に気づいた証しだと主張している。新聞社は、ニュース記事のさわりの部分を掲載することによって生じるコンテンツ使用料に期待するよりも、Googleからやってくるトラフィックのほうが重要なことに気づいた、というのだ。
観測筋は、自社サイトへのトラフィックのほぼ25%を検索エンジンから得ている新聞社にとって、Googleのトラフィックを失うことは大打撃になるのは間違いないはずだと指摘する。
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