米国時間5月22日〜25日に開催された「Future in Review」カンファレンスの10名ほどの講演者の意見によると、交通機関の燃料として全世界的に原油に依存するのは終わりにするべきだという。こうした考え方は、昨今ではさほど目新しくもないが、将来エネルギー消費がどういう形のものになるかという問いをめぐっては、多くの論議がなされている。電気自動車を使用するのか、それともハイブリッドか、バイオ燃料に移行するのか、あるいはまったく別の何かが登場することになるのだろうか。
「The Economist」誌で地球環境とエネルギー問題の記事を書いているVijay Vaitheeswaran氏は、あるパネルセッションで「世界のエネルギーシステムは、現状のままでは根本的に持続不能だ」と語った。「われわれは今日、不必要に環境を汚染する非効率的な方法で燃料を使っている。そのせいで持続不能となっているのだ」
それなら、今後はどうしたらいいのだろうか。解決策について一致した意見はないが、何が必要かに関してはたくさんの提案がなされている。次世代の交通機関向け燃料の資源は、環境を汚染せず、効率的で、大量かつ集中的に存在し、安全で、そして最も重要な点だが、安価でなければならない。
Foutch Consultingの社長で石油産業に長く関わってきたRandy Foutch氏は、「米国におけるエネルギービジネスの方向性は『確実に安いものにしよう。次世代に持続可能な供給をもたらすかどうかという点については気にしないでおこう』というものだった」と述べた。しかし、現時点に至って、意志をまとめられれば何かしら手段がある状況になったため、石油業界も政府も、将来を考えずにはいられなくなっているとFoutch氏は論ずる。
Future in Reviewの主催者は、カンファレンスが特定のテーマに偏らないように努めており、セッションの内容も、生物模倣技術やAIDSの将来といったものから、ロケット工学、世界的な投資傾向にまで及んでいる。同様に、講演者や出席者も、情報技術、金融、政府、教育関係、ベンチャーキャピタルなど、さまざまな分野から参加している。
しかし、技術の世界は、家庭や自動車にエネルギーを供給する代替手段を見つけようという方向にますます努力を傾けつつある。地球温暖化を食い止めるとともに、中東依存から脱却し、しかも豊かな生活を送ろうというのだ。カンファレンス会場となったHotel Del Coronadoで行われたセッションも、その後のカクテルアワーのディスカッションも、そういった雰囲気を反映していた。
科学技術者やエンジニアがまず取り組まなければならないのは、代替燃料問題ではなく、自動車を作るための新しい材料を見つけることだと指摘するのは、カリフォルニア工科大学の化学教授Nate Lewis氏だ。
Lewis氏は「物理の法則には逆らえない」と述べ、合計300ポンド(約136kg)の乗客を運ぶために、3000ポンド(約1360kg)の重量の車を作るという論理に疑問を投げかけた。「自動車業界は今後、軽量かつ強度の高い材料を使うようになり」、街中の走行に要する燃料が少なくてすむ車ができるだろうと、Lewis氏は言う。
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