米国は、いわゆる「グリーンテクノロジ」(地球環境に優しいテクノロジ)に関してスウェーデンに目を向けようとしている。
Bush大統領は米国時間5月15日の午前、スウェーデンのFredrik Reinfeldt首相と会談する予定であり、諸テーマの中でもとくに、グリーンテクノロジおよび米国とスウェーデンとの2国間協力が話題になるものと見られている。
しかし、グリーンテクノロジに関する協議のために、両国の要人が互いに交流をもつのは、なにも今回のReinfeldt首相とBush大統領の公式会談が初めてではない。実際、駐スウェーデン米国大使Michael Wood氏は、さきごろシリコンバレーを訪問してスタンフォード大学(カリフォルニア州パロアルト)で会合を開き、スウェーデンのグリーンテク企業30社を18のベンチャーキャピタリストに紹介した。
Wood氏はCNET News.comの取材に応じ、Bush大統領とReinfeldt首相は、研究者と大学、企業が協力して代替エネルギープログラムの開発に取り組むことについて話し合う予定だと述べた。
Woods氏がシリコンバレーの投資家集団と検討したスウェーデンの各企業は、米国のベンチャー資金から、いわゆる初期段階投資を得ることを望んでいた。米国のベンチャー投資家はこの数カ月ほど、環境関連企業に積極的に投資している。スタンフォード大学での会合に参加したベンチャー投資会社には、Sequoia Capitalまでもが名を連ねていた。同社はまだ、代替エネルギー関連に投資した実績はない(少なくともこれまで公開されているものにはない)。
そのほかこの会合には、2006年にクリーンテクノロジ関連会社に8件の投資を行ったVantagePoint Venture Partnersも姿を見せていた。8件の投資のうち2件は欧州の企業で、1社がスウェーデンのChemrec、もう1社が英国のsolarcenturyだ。VantagePointは、スウェーデンのVolvo Technology Transferと共同でChemrecに投資している。
VantagePointによるChemrecへの投資は2007年1月のことで、同社パートナーでChemrecの取締役会長を務めるBernie Bulkin氏は、「わが社は、この1年のうちに大きな計画をいくつか抱えているが、この企業は同分野におけるどの企業よりもはるかに進んでいる」と述べた。
Wood氏は「この人々は初期段階での投資家たちだ。早い段階で参入して、3年から5年で結果を得よう考えている」と話す。さらに、Wood氏によると、こういった投資家たちは、スウェーデンの企業が国内だけではなく、世界的な機会を認識する目を持っているかどうかを見極めたいと考えているという。
Chemrecは、そうした企業の1つになれる可能性がある。同社は、木材から紙やパルプを作るときに出る「黒液」と呼ばれる廃棄物を利用して、バイオ燃料を作り出す技術を開発した。紙やパルプの製造において製品になるのは原料の木の50%で、残りの半分は廃棄物となり、利用法といっても、燃焼させてかなり効率の悪い電力源にする程度だ。
Chemrecはすでに、ノースカロライナ州のパルプ工場にプラントを設置し、スウェーデン北部にも小規模のデモンストレーション用プラントを持っている。同社は、黒液を精製してできるバイオ燃料で、スウェーデン国内の道路交通機関で消費される燃料の25%までカバーできるようにしたい考えだ。
「スウェーデンから学ぶことはたくさんある」とWood氏は話す。この試みをスウェーデンの2大発明であるシートベルトと触媒コンバータにたとえて、Wood氏は「30社のなかにリニューアブルエネルギーにとっての『シートベルト』を発明してくれる企業が入っていることを願っている」と結んだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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