UPDATE Dellがその営業戦略に新たな側面を加えつつあるが、それで同社が元の軌道に戻れるかどうかは不明だ。
その創業当初から消費者直販モデルを自慢にしてきたDellは米国時間5月24日、「Dimension」デスクトップの2モデルを6月10日からWal-Martの3000店舗以上で販売することを発表した。
これは大幅な戦略転換ではあるが、Dellがその直販モデルを断念するわけではない。同社広報担当のBob Pearson氏は、「直販モデルにはかつてないほどの信頼を寄せている」と語っている。
また、これは完全に予想外の措置でもない。The Wall Street Journal紙によると、創業者兼最高経営責任者(CEO)のMichael Dell氏は4月、同社の方向性について書かれたメモを社員に電子メールで送信したという。そこには、「直販モデルは革命だったが、いつまでもより所にするものでもない」と書かれていたという。Dell氏はつい先週も、Computer Reseller Newsとのインタビューのなかで小売店を展開する可能性があると語り、小売業界を驚かせた。
Dell氏によると、Wal-Martを選んだのは同社が顧客を熟知しているためだという。Pearson氏は、「アメリカ人の90%はWal-Martで買い物をしている。彼らは顧客経験価値を分かっているので安心だ」と語っている。
世界第2位のPCメーカーであるDellは、小売業界におけるWal-Martとの提携が「試験」プログラムではないことを強調し、「これから多くの話題を提供する国際小売戦略の一環」だとしている。それでも、PCの小売販売に踏み切るのは容易な仕事ではない。
The NPD Groupの業界分析担当バイスプレジデントStephen Baker氏は、「直販から直販と非直販の両方の形態に移行することは文化的に大きな転換だと思う。タイタニック号を方向転換させ、氷山との衝突を回避させるに等しいことだと思う。彼らがビジネスを活性化させるのにそれが適切な方法かといえば、自信がないしまだ分からない、というのが私の意見だ」と語っている。
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