タイヤメーカーのGOODYEARが膨大な量の欠陥タイヤをリコールし、MICHELINが代わりに増産したが追いつかず、結果的にトヨタ自動車が「プリウス」の出荷延期を余儀なくされる状況を想像してみよう。
もちろん、こうしたことは実際には起きていない。しかしPC業界では、ノートPCメーカーがバッテリの供給で似たような状況に直面するかもしれないという予測が出始めている。
報道によると、ノートPCをOEM生産する台湾のCompal Electronicsは現地時間10月24日、ソニーの大量リコールによるバッテリ不足で第4四半期の出荷が影響を受けるかもしないと、投資家たちに説明したという。Compalは、DellやHewlett-Packard(HP)などの有名ブランド企業から、ノートPCの製造を請け負っている。DellとHPは、他の競合企業とともに、PCが最もよく売れる2カ月間のホリデーシーズン商戦にまもなく突入する。
PC業界には、バッテリ不足の予想を一蹴する人もいれば、リコールが供給に与える影響について口を閉ざして語ろうとしない人もいる。さらには、Compalはこの状況を利用して値上げを交渉するつもりでいるだけではないかと、憶測をほのめかす人さえいる。しかし、もし影響があれば、第4四半期は持てる者と持たざる者とが対立する典型的なケースとなる可能性があると、アナリストたちは述べている。
PC業界の市場調査会社Endpoint Technologies AssociatesのアナリストRoger Kay氏は、次のように述べている。「25ドルのバッテリがないために1400ドルのノートPCを販売できないなどという状況は誰にとっても望ましくない。だが、こういう場合の一般的な流れで進むとすれば、大企業は必要な分だけ手に入れ、中小企業が困り果てることになる」
2006年夏以来、ソニーは約900万個のバッテリを回収してきた。DellのノートPCに関する事故が続いたことを受け、ソニーは、製造プロセスにおける不備により、ごくまれにではあるが、バッテリのショートと爆発を引き起こす可能性があることを認めた。これまでにDellがバッテリ420万個を、続いてApple Computerが「iBook」および「PowerBook」用バッテリ180万個をそれぞれリコールしている。
DellとAppleがバッテリのリコールを発表した時点で、ソニーは、影響を受けるPCメーカーは2社だけだと主張していた。しかしその数週間後、Lenovoがバッテリのリコールを発表するに至り、ソニーは結局、東芝、Gateway、富士通に供給したバッテリと、自社のノートPCに使用しているバッテリを回収することに同意した。ソニーは、これらのリコールの費用として、2006年度第2四半期(2006年4月1日から9月30日)に4億3100万ドルを支出したと述べた。
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