ソニーのバッテリ回収問題、PC業界全体の年末商戦に影響も? - (page 2)

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:向井朋子、吉武稔夫、小林理子2006年11月01日 08時00分

バッテリが品薄に

 ソニーの一件で注文が急激に増加し、三洋電機、サムスン電子、松下電器産業などのバッテリメーカーが対応に追われていることをうかがわせる報道も出ている。

 このことは、PCメーカー側にも問題を引き起こしかねない。Compalは先週の電話会見で、480万ないし500万台としていた第4四半期のノートパソコン出荷見通しを、460万台に下方修正した。同社は修正の理由を、バッテリの品不足のせいだと説明した。

 PC業界全体における第3四半期のパソコンの総出荷台数は5910万台だった。Gartnerによれば、2006年のパソコン総出荷台数のうち約3分の1をノートパソコンが占める見通しだという。第3四半期から第4四半期にかけての出荷台数の伸びが例年通り13%ないし15%だとすると、第4四半期にはノートパソコン用のバッテリが約2200万個必要となる。

 その2200万個に、ソニーがリコールした分の900万個が上乗せされる。2個以上のバッテリを購入したり古いノートパソコン用にバッテリを買い換えたりする顧客の数を除いても、この数は膨大に思える。とは言うものの、調査会社Current AnalysisのアナリストSamir Bhavnani氏によると、この900万個に関しては、それよりも遥かに少ない個数に対応するだけで済むだろうという。

 リコールは代金の一部払い戻しのようなもので、対象となる顧客全員が利用するわけではないことを企業の側も心得ていると、Bhavnani氏は言う。同氏によれば「これまでのデータから、企業はどのくらいの顧客がリコール制度を利用するのか知っている」し、その数はそれほど多くはないという。

 Lenovoによれば、今回のリコール対象となるべきバッテリの数は52万6000個だったが、これまでに実際に顧客から回収したのは1万個に過ぎなかったという。

 他社の回収率も同様に低い数字だとすれば、バッテリメーカーが需要を満たすのは、それほど困難ではないだろう。Dell、HP、Lenovoの各社は、第4四半期のバッテリ供給について何の問題もないと考えていると述べている。

 しかしながら、バッテリの品不足でどのような影響を受けるかについて、GatewayとAcerからはコメントを拒否された。また、Apple Computerからは、電話および電子メールによる問い合わせにも回答を得られなかった。

 Kay氏によると、最大手の企業顧客なら必要な分のバッテリ確保は問題なく保証されるだろうという。しかし、そのような保証を得られるとは限らないノートPCにおける市場シェアの末端に位置する企業では、いささか落ちつかない思いに駆られる企業幹部もいることだろう。

 Kay氏は、実際に品不足が起こるとすれば、アクセサリ分野で起こる可能性が高く、予備用や交換用のバッテリを購入する人々が影響をこうむるだろうと見ている。たとえば、予備のバッテリを買っておこうと思っても入荷までに数週間待たされるとか、小売店で適合するバッテリがなかなか見つからないとかいうことだ。

 リコールから生じる品薄状態の解消が難しいということになれば、バッテリメーカー間で統一規格を定める必要性がはっきりする、とKay氏は語る。同氏によれば「どのメーカーの製品にもどこかしら他社との違いがある」ため、単に不足分を追加生産すればいいというわけにはいかないのだという。家電品用のアルカリ電池にある単4や単3といった規格のように、メーカーに関係ない統一規格がノートPCのバッテリにもあれば、このような問題は起こらないとKay氏は論じた。

 ホリデーシーズン絡みの問題だけにとどまらず、2007年にはバッテリの品不足に起因して何らかの問題が起こる可能性もあると、Bhavnani氏は見ている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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