「ロングテールは本物でも、儲かるのはオレたちだけ」−AOLトップの腑に落ちない言い分 - (page 2)

坂和敏(編集部)2006年09月29日 20時58分

 この講演については、ZDNet.comのDavid Berlindも「Between The Lines」のブログで触れていた。「AOLのMiller:『ロングテールは本物だが、そこからお金を儲けられるのはほんの一握りの企業』("AOL CEO Miller: The long tail is real, but only a handful are cashing in")」というこのブログ、News.comの記事よりもかなり詳しい。だが、肝心の「なぜそうなのか?」という部分についてはニュース記事と大差がない。「お金の部分を追っていけば、(創業からもう8年も立つ)GoogleやYahoo、AOL、eBay、Microsoftなど古い企業に行き当たる。こうした既存企業は、自社のサイズとスケール(できる)能力を利用して、メディアの消費に伴って流れるお金を横取り(インターセプト)するだろう」・・・どんなプレーヤーでも一定の規模になると、整理統合--つまり自社よりも大きな会社に買われてしまうため、こうした状態が状態が続く、という意味のことをMillerが言った、としか書かれていない。

 結局のところ、AOLの責任者としては、「自社には昔からつきあいのある大手企業の広告クライアントもあるし、またGoogleとの提携を通じてロングテールの(ミドルからテールにあたる)広告にも対応できるようにした。コンテンツにしても(Time Warnerの資産である)ヒット映画/音楽といったヘッドの部分から、新しいNetspace.com(Diggをパクッたとして論争を呼んだ例のやつ)みたいなテールの部分までカバーしている。また必要があれば、Weblog Inc.のようなものをもっと買っていけばいい。ポータルとしてもいまだにそこそこの数を集めているし・・・さらに、なんといっても現代の若者にとってマルチタスクは当たり前だから、一定の時間内に消費するメディアの量は昔とは比較にならないほど大量になっている(だから自社のビジネスもさらに拡大する)」といったことをアピールしたかったのだろう。

 確かに、MySpaceがNews Corp.に買われ、またYouTubeもすでに売却の可能性を探っていることを考え合わせると、このMillerの考えが何年か先に現実となるのかもしれない。もちろん、GoogleがMicrosoftのオファーを断って独立路線を貫いた例のように、それと反対の可能性もあり得る。いま、Millerの予言の当否について何らかのポジションをとるのは、いまの私にはとても難しい。

 ただし、いまの時点ではっきりしていることもひとつある。それは、次のような「イメージ」もしくは「認知のされ方」に関わる事柄だ。

 たとえばグーグルは、それまでローカルの市場しか相手にできなかった中小規模の企業に対し、日本全国あるいは世界中に向けて広告を出せる手段を提供した。佐々木俊尚氏の著書「グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する」のなかに出てくる羽田空港ちかく(京浜島)の駐車場は、そうした手段の恩恵を受けた一例だろう。また、AdSenseによって一般の個人が運営するブログやウェブサイトにも利益が流れる仕組みができた。同じように、eBayやヤフオクにもその「場」を借りて商売を営むサードパーティがたくさん存在する。

 先述の書籍「ロングテール」のなかには、GoogleのEric Schmidtが自社のビジネスとロングテールの関連について語った、次のような記述がある(274頁)。「・・・小規模のビジネスをしていて、商品を市場に出したいと思っている人たちがいる。そこで考えたんだ。"彼らの収入を増やすため、うちのモデルはどう役立てばいいのか"(と)」

 MySpaceにしても、YouTubeにしても、Googleなどと同じプラットフォームとして急成長を遂げてきたこと、そしてプラットフォームはその上で満たされる需要と供給をともにユーザーに依存していることは改めて言うまでもない。そういう性格のプラットフォームを提供する人間が、GoogleのSchmidtのようなコメントをするか、それともAOLのMillerのような発言をするか・・・ユーザーからみてどちらの側に加担したくなるかはいわずもがなだろう。

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