インテル、新プロセッサ「Tulsa」をリリース--AMDに反撃なるか

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:中村智恵子、小林理子2006年08月29日 22時10分

 Intelが米国時間8月29日、ハイエンドのx86サーバ向けの新「Xeon」プロセッサ「Tulsa」(開発コード名)をリリースした。これは、ライバルのAdvanced Micro Devices(AMD)に奪われたシェアを回復すべく打ち出した一連の反撃策の最新のものとなる。

 プロセッサ4基搭載サーバシステム向けのデュアルコアチップであるTulsaは、正式名称が「Xeon 7100」となる。4Mバイトの高速キャッシュメモリと動作周波数2.6GHzの「7110」モデルで価格は856ドル、16Mバイトのキャッシュメモリと動作周波数3.4GHzの「7140」モデルの価格は1980ドルとなっている。

 Intelは22日、前バージョンのXeonプロセッサ『Paxville MP』と比較すると性能は約70%改善している、と述べていたが、現在は、AMDの「Opteron」との比較に注目を集めようとしている。Tulsa搭載システムは、ビジネスデータベースのタスクではOpteronマシンよりも17%高速で、Javaサーバのタスクでは42%高速だと、Intelでは述べている。

 AMDがx86サーバ市場に参入したのは3年前のことで、それ以来、激烈な競争が展開されてきた。主要サーバメーカー4社すべてがOpteronサーバを販売または販売予定で、AMDはサーバプロセッサ市場で26%のシェアを占める地位に成長した。それに対するIntelはデュアルプロセッササーバ向けのXeonチップ「Woodcrest」(開発コード名)で反撃し、今回、ハイエンドモデル向けのTulsaを投入する。

「最大パフォーマンスの点から見て、7100シリーズはわれわれが望む高さの位置まで、引き戻してくれるものであることは間違いない」とIntelのDigital Enterprise GroupゼネラルマネージャーTom Kilroy氏は語った。

 Tulsaは、Intelにおいてすでに開発が終了した「NetBurst」アーキテクチャを使用した最後のチップで、Kilroy氏は「古い技術だ」と認めながらも、Tulsaは十分に魅力ある設計なのだと主張する。「16MバイトのL3(レベル3)キャッシュメモリによって本当に卓越したパフォーマンスが実現されている」(Kilroy氏)

キャッシュメモリが決め手

 実際、キャッシュメモリは、AMDとIntelの競争の核心部分だ。AMDのOpteronはメモリコントローラを内蔵しているが、Intelのシステムでは、別個のチップを必要とする。これは、データのやり取りにかかる時間が増えることを意味する。しかし、大容量のキャッシュメモリがあれば、データはすぐ読み取れることになるので、メモリコントローラは必要ないというのがIntelの考えだ。

 AMDのチップには現在も90ナノメートル製造プロセスが用いられているのに対して、Intelは65ナノメートル製造プロセスに移行した。これは、同じ表面積でもより多くの回路構成を詰め込めることを意味する。しかも、同じ製造プロセスの場合でさえ、キャッシュメモリの構成要素はIntelのほうが小さいと、Kilroy氏と共にDigital Enterprise Groupでゼネラルマネージャーを務めるPat Gelsinger氏は語る。

 「キャッシュセルの大きさはおよそ半分だ。キャッシュ容量はいくらでも大きくできた」と、Gelsinger氏は以前のインタビューで述べている。

 加えて、Tulsaは、Xeonシリーズとしては初めて、「Pellston」(正式名称「Intel Cache Safe Technology」)技術が組み込まれている。これによって、エラーが検知された場合には、自動的にキャッシュラインが無効になる。こうした信頼性にかかわる機能がハイエンドサーバでは重要なのだとKilroy氏は述べている。

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