サンフランシスコ発--サーバ用プロセッサの世界では、AMDが消費電力に関する優位性を語る一方で、Intelは性能の高さを売り込んでいる。
今週当地で開かれている「国際固体素子回路会議」(International Solid State Circuits Conference:ISSCC)のなかで、競合する両社はそれぞれ次に出す予定のサーバ用チップに関する詳細を明らかにした。発表からは、両社のアプローチがわずかに異なっていることが分かる。
Intelが2006年後半に投入するデュアルコアXeon「Tulsa」(開発コード)は処理能力の高さに重点が置かれたものになる。同プロセッサは動作速度が3.4GHzと、現在出回っている3GHz Xeonチップ「Paxville」よりも高速だ。また、Tulsaには16Mバイトの一体型キャッシュが搭載され、各プロセッサコアが1つのキャッシュを共有できるようになる。AMDとIntelが現在販売しているデュアルコアチップは、いずれもキャッシュが2つに分かれている。一方、IBMのデュアルチップは一体型のキャッシュを備えている。
このキャッシュの変更で、一部のアプリケーションでは最大10%の性能向上が期待できると、IntelのDigital Enterprise GroupバイスプレジデントNimish Modiは説明した。また、Tulsaには「Pellston」という仮想化技術も搭載される。複数のオペレーティングシステムを同時に動かせる仮想化技術が同社製プロセッサに搭載されるのはTulsaが初めてとなる。
さらにTulsaには、消費電力を抑える技術も搭載される。同チップのキャッシュメモリには、スリープおよびディープスリープという2つのモードが用意され、消費電力を最大で6%削減可能になる。現行のチップでは、キャッシュがほとんどの時間オンの状態にあり、リーク電流を生じさせていることが消費電力の増加につながっている。
「キャッシュで消費される電力の大部分は、リーク電流として浪費されている」(Modi)
さらに、Tulsaの熱設計電力(TDP)は150ワットと、Paxvilleの165ワットよりも低くなる。チップは通常TDPの上限に達することはないが、サーバメーカー側ではTDPの値にあわせて、冷却機構などをそれぞれ設計している。また、TDPが大きいほど電力消費量も多くなる。
対照的に、AMDが投入予定の新チップは、TDPが95ワットで同社独自の仮想化技術「Pacifica」も搭載されるとAMDでは説明している。
このデュアルコアOpteronには、それぞれのコアに対応する512Kバイトの専用キャッシュが付属する。AMDのウェブサイトにあるロードマップによると、同社では2007年まで一体型のキャッシュを搭載するチップの投入予定はないという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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