「ThinkPad」の未来をその手に握るHoward Locker氏は、変革の先頭を切ることを楽しんでいるという。
LenovoがIBMのPC事業を買収してから1年が経過した。デスクトップおよびノートPCデザイン担当チーフアーキテクトのLocker氏をはじめとする同社の社員は、完全にPCだけに焦点を絞った企業で働く機会を享受している。「IBMのポートフォリオを見てみればわかるとおり、われわれの部署は会社内で重要な地位を占めてはいなかった。だが今は、われわれの製品こそが会社の最重要製品となっている」(Locker氏)
2005年5月、Lenovoは2004年12月に初めて発表した同部門の買収を完了させ、世界第3位の規模を誇ったPC事業を手に入れた。Lenovoは、買収後の1年間は運営体制の強化や新会社の形成に努めてきた。新たなPCベンダーとして2年目を迎えた今、同社は米国と中国を中心としていた対象市場を拡大しようとしている。しかし、世界の国々に進出していくには、業界のトップを走るDellやHewlett-Packardとのシェア争いを勝ち抜く努力を続けなければならない。
Endpoint Technologies AssociatesのアナリストRoger Kay氏は、「Lenovoは力強い成長基盤を作り上げることができたと思う。だが、これからはさらに想像力を働かせて、新たな段階へ進んでいく必要がある」と指摘している。
IBMはサーバやソフトウェア、サービスといった高収益ビジネスに常に大きな関心を抱いてきたが、PC事業の発展においても歴史的に重要な役目を果たした。一時期は、多くの消費者がIBMとPCを同義語としてとらえていたほどだった。世界の大手企業の中にも、ThinkPadを信奉するユーザーが厳然として存在している。しかし、採算性や他部門の管理問題などを考え合わせ、IBMはPC事業部を手放すときが来たと決断した。
PC事業部の売却以後、IBMの収入は多少の落ち込みを見せたが、直近の四半期の利益は27%増しと回復した。Lenovoが1周年を迎えたことについて同社にコメントを求めたが、回答は得られていない。
Current AnalysisのアナリストSam Bhavnani氏は、IBMの顧客は中国企業と取り引きするのをためらうのではないかと考えられていたが、買収前および買収後の事業体が保っている継続性のおかげで、そうした懸念は払拭されたと話した。「ThinkPadの購入を迷っている企業は、Lenovoの広報担当や幹部と話をしてみるとよい。不安は解消されるはずだ」(Bhavnani氏)
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