東芝が米国時間4月18日に米国市場でHD DVDプレーヤー2機種を発表したことを受け、HD DVDとBlu-rayとの次世代DVD規格を巡る戦いの勝敗は、一般消費者の判断に委ねられることになった。
HD DVD陣営は、Blu-ray陣営よりも先に市場へ製品を投入し、両者間のPR合戦で勝利を収めた格好だ。東芝の発表した「HD-A1」(500ドル)と「HD-XA1」(800ドル)は今週店頭に並ぶが、それに対し初のBlu-rayプレーヤーは約2カ月後に発売予定となっている。
次世代DVDをめぐる戦いで勝利を手にした側は、膨大な額の掛け金を手にすることになる。240億ドル程度の規模を持つ家庭向けビデオ市場を制することになるからだ。そして、その影響を被るのは映画会社や家電メーカー、ソフトウェアメーカーだけに留まらない。一般消費者も選択を誤れば大きな損害を被る可能性がある。
30年ほど前にVHSとBetamaxがビデオの規格争いを繰り広げたが、あの戦いの結末が示す通り、こうした対決では通常負けた側には何も残らない。ビデオの規格争いではVHS側が勝利を収め、映画会社はただちにBetamaxを見捨てた。Betamax規格のビデオデッキを買った消費者は観るべき映画もないままに取り残され、一銭の値打ちもないビデオデッキに数千ドルを投じたことになってしまった。
次世代DVDの普及はまだごく初期の段階にあるため、アナリストの中には、余程の映画マニアでもない限り、製品の購入は勝者が判明するまで待つべきだという者もいる。どんな技術にも不具合や故障は付きものであり、また通常は製品の出始めよりもしばらく経った後のほうが値段も安くなる。ローエンドのDVDプレーヤーが50ドルで買える時に、HD DVDプレーヤーは最低でも500ドルもする。また、Blu-rayプレーヤーの最上位機種は1800ドルにもなる可能性がある。
「これらはまだ、価格に敏感な消費者向けの製品ではない」(IDCのアナリストJosh Martin氏)
テレビが大好きで、手に入るもののなかでも一番良い製品を所有するのが好きな人は、購入前にいくつかの点を考慮しなくてはならない。
まず、(HD DVDもしくはBlu-rayの)どちらのプレーヤーを買っても、大手映画会社7社のうち、一部の会社の作品しか観られない。つまり、一方の規格のプレーヤーを購入した者は、その方式に対応しない映画会社の作品を見られないかもしれないということだ。
現在、Blu-rayを支持する映画会社は7社あるが、いっぽうHD DVDを支持しているのは3社で、しかもそのうちの2社は両方のフォーマットを支持している。HD DVDのみを支持しているは、Universal Studiosだけだ。
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