「心臓が動く」精密な人体の3次元モデルデータを日本SGIと慈恵医大が販売

柴田克己(編集部)2006年03月27日 19時12分

 日本SGI東京慈恵会医科大学(慈恵医大)高次元医用画像工学研究所は3月27日、共同で、時系列の情報を含む高精細な3次元人体モデルデータの販売、提供を行うと発表した。

 慈恵医大高次元医用画像工学研究所所長の鈴木直樹氏は、今回提供される人体画像コンテンツが画期的な理由として、定量的に正確なデータであること、遺体ではなく実際に生きている人間のデータを採取していること、時系列に沿った動作データが含まれている(4次元データである)ことを強調した。

 この人体モデルの制作に当たっては、生体に対する計測を行うために特別に開発したMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)計測技術を用いているという。計測された膨大な量のデータから、主要な解剖学的要素を抽出し、サーフェスモデルとして全身の構造を構築している。

骨格系、心血管系、内臓系などから成る数百のパーツによって全身が構成されており、心臓の拍動や骨格の動きといった時間軸に沿ったデータも含まれている。
骨格系、心血管系、内臓系などから成る数百のパーツによって全身が構成されており、心臓の拍動や骨格の動きといった時間軸に沿ったデータも含まれている。

 提供される人体モデルは、20歳代日本人女性のもので、骨格系、心血管系、内臓系に大別される数百のパーツからなる3次元構造を持つと同時に、時系列に沿った動作データも含まれており、心臓の拍動の様子や骨格の動く様子を、仮想空間上で忠実に再現できるという。

 両者は以前より、バーチャルリアリティ技術を応用した人体の医用画像データ処理およびモデリングに関する共同研究を行ってきた。研究例としては、手術を行う医者が、3次元映像で映し出された患者の体内を見ながら作業を行える支援技術「データフュージョン」や、手術前に仮想空間上で最適な手術方法を検討する「バーチャルサージェリー」といった技術などがある。日本SGIでは、慈恵医大高次元医用画像工学研究所に対してデータの可視化技術の面で支援を行っており、今回提供される人体モデルはこれまでの両者の研究成果をベースにしたものだという。

 モデルデータは医学研究および教育用のコンテンツとして、1体95万円で提供される。日本SGIでは、この人体モデルのeラーニング教材としてのカスタマイズや、用途に合わせたビューワの開発などを行っていくとしている。

日本SGI、代表取締役社長の和泉法夫氏(左)と、慈恵医大高次元医用画像工学研究所所長の鈴木直樹氏。
日本SGI、代表取締役社長の和泉法夫氏(左)と、慈恵医大高次元医用画像工学研究所所長の鈴木直樹氏。

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