ソフトバンクとヤフーは12月19日、動画配信を手がける新会社「TVバンク」を共同で設立すると発表した。Yahoo! JAPANの動画サイト「Yahoo!動画」において同日よりコンテンツを配信している。両社がタッグを組むことで先行するUSENのGyaOに対抗する。
TVバンクの資本金は15億500万円、資本準備金は14億9500万円で、ソフトバンクが60%、ヤフーが40%を出資する。「合計で30億円の出資だが、今後はさらに積み増す予定もある」(ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏)。代表取締役社長には孫氏が就任し、ソフトバンクグループで動画配信事業に携わっていた社員57名が参加する。ヤフーからも代表取締役の井上雅博氏など3名が取締役として参画する。
発表会の会場には格闘家のボブ・サップさん、ソフトバンクホークスの新垣渚選手、タレントの上戸彩さん、F1レーサーの鈴木亜久里さんが登場して、配信コンテンツをアピールした |
Yahoo!動画では無料コンテンツを1万6000本、有料コンテンツを1万5000本、それぞれストリーミングで配信する。無料コンテンツの場合、会員登録は不要だ。また、新たに動画検索機能を導入し、Yahoo!動画以外のコンテンツ約7万本にアクセスできるようにした。
ヤフーはこれまでYahoo!動画で有料コンテンツを提供していたが、このうちの多くを広告掲載によって無料配信に切り替えた。広告の受注はヤフーが請け負い、TVバンクと広告収入を分け合う。TVバンクは視聴数に応じてコンテンツ提供主とこの収入を分け合う形をとる(図)。
図:TVバンクのビジネスモデル。ヤフーとTVバンク、コンテンツ提供主の3者で収入を分けあう
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テレビ朝日、WOWOW、東映、バンダイチャンネル、ボニーキャニオンといったこれまでYahoo!動画にコンテンツを提供していた企業のほか、新たにオスカープロモーション、角川映画、GDH、松竹などがコンテンツを提供する。また、NHKも実証実験として参加する。ほかの民放各社とのコンテンツ提携については協議中としている。
広告代理店としては電通、博報堂DYメディアパートナーズ、アサツーディ・ケイ、サイバーコミュニケーションズ、デジタル・アドバタイズ・コンソーシアムなどが協力する。19日の時点で資生堂やユニクロなど60社以上の広告主が決まっているという。
動画検索では、インターネット上にあるさまざまな動画コンテンツを検索できる。タイトルやサマリ、再生時間、サムネイルなどが一覧で表示され、サムネイル上にポインタを載せると自動的に再生される(画面)。また、「キーワードチャネル」という機能を使うと、検索された動画が最初の約20秒間ずつ連続再生される。いずれの技術も特許出願中とのことだ。
動画検索の結果に表示されたサムネイルの部分は、マウスオーバーすると拡大して動画の再生が始まる。再生時間は最初の20秒間だ。
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2006年1月にはユーザーが撮影した動画を公開できる「動画投稿機能」を追加する。当初は郵送での受け付けとなるが、春ごろからはインターネット上からも受け付けるようにする。テーマ別に年4回コンテストを開催して、優秀者には100万円の賞金を贈る。また、全応募作品の中から最優秀者には賞金1000万円を贈呈する計画だ。
事業目標については「Yahoo! JAPANの4000万人のユニークユーザーがすべてYahoo!動画を利用するようにしていく」(孫氏)としたが、具体的な時期や損益分岐点などについては明らかにしていない。
無料の動画配信サービスではUSENのGyaOがサービス開始から8カ月で会員数が500万人を突破しており、他社に先行している。この点について孫氏は「TVバンクではスポーツやコンサートの生中継が可能な独自の配信技術がある。ソフトバンクホークスの試合の生中継では、56万人が同時アクセスしても障害が起きなかった。こういった技術面では他社に比べて圧倒的に強い」と自信を見せた。
ソフトバンクでは、Yahoo! BB会員向けにセットトップボックス(STB)を利用した有料動画配信サービスの「BBTV」を提供している。Yahoo!動画との関係については、「STBを利用してテレビで見る場合にはBBTV、PC向けにはYahoo!動画と住み分けは可能だ」と述べた。
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