Intelは米国時間18日に年次株主総会を開催したが、このなかでPaul Otelliniの新CEO就任が正式に承認された。
Intelに31年勤務し、同社5代目のCEOとなったOtelliniは、アナリストと株主を前に、PC市場は今後も活況が続くと語った。
同氏によると、PCの出荷台数は過去3年で合計36%(5500万台)増加したという。パーソナルコンピュータの出荷台数は今年2億台の大台に達する見通しで、増加分の大半はノートPCが占める。
だが同氏によると、この市場では発展途上国の主導でますます国際化が進むという。ちなみに、新興国におけるIntelの代理店は1995年には4都市にしかなかったが、現在では1275都市にまで拡大した。また、10年前に新興国向けに出荷されたPCは全体の15%だったが、今日ではその割合が38%に伸びていると、同氏は指摘した。
そのために、Intelはこれらの市場に即した新製品の開発を進めていると、Otelliniは述べた。
「北米向けに設計された製品を販売することは最適なやり方ではない。新興国向け製品は、はるかに頑丈で、防塵性が高く、停電にも強くなくてはならない」(Otellini)
Intelにとって、医療関連分野も大きなチャンスが存在する市場であり、同社は今後多方面からこの分野にアプローチしていく。トップの座を後任に譲る同社会長のAndy Groveによると、その1つが請求や診断の簡略化を目指した病院と診療所のネット化だという。同社はさらに、医薬品開発者や遺伝子工学者などが要求する非常に負荷の高い計算処理を行うIAサーバも売り込んでいく。
一方で、同社はバイオテクノロジー分野向けに、ナノサイズのトランジスタ製造技術も強化していく。
Intelは2003年に、ガン細胞の異常検知に向けた半導体機器の利用について調査会社と共同調査を行ったことがある。だが、Intelがこのようなプロジェクトの営利事業化に言及したのは今回が初めてだ。
「この技術はタンパク質の構造分析に利用できる。この分野でのマーケティングや営業の専門知識を有する人々と協力しながら、(この製造技術を)製品開発に結びつけたい」(Grove)
しかしながら、株主総会で多くの時間が費やされたのは過去の出来事のほうだった。
OtelliniがCEOに昇格したことで、Barrettは会長に就任する。一方、Groveは取締役会メンバーを退く。Intelに4人めの従業員として入社したGroveは、これまで社長、CEO、会長を歴任してきた。
Otelliniは、さまざまな意味でこれまでの前任者と異なる。技術畑以外の出身者--Otelliniは財務や販売部門の出身--がCEOに就任するのは同社では初めてのことだ。
その一方で、これまでのCEO同様、同氏はIntel一筋で、カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得した後、Advanced Micro DevicesやFairchild Semiconductorsからの話を断って、同社に入社した。サンフランシスコ出身の同氏はビジネススクール入学前に、短期間だが法律事務所で働き、夏場にはSan Francisco Giantsの本拠地であるキャンドルスティックパークのスタンドでスナックを売ったこともある。
もっと重要なのは、OtelliniがIntelの社風や基本戦略を大きく変更する計画はないと強調したことだ。現在同社は「プラットホーム」--つまりチップの完全なバンドルをPCメーカーや電話機メーカーに提供することを目指した組織体制になっているが、これらのチップバンドルの中心となるのはやはりマイクロプロセッサだ。またOtelliniは、Sarbanes-Oxley法を好ましくない法案と呼ぶ点や、米国の競争力が後退しつつあると考えている点でも、前任者らと意見が一致している。
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